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マーケティングリサーチとは?手法12選とやり方5ステップを完全解説

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マーケティングリサーチは、勘や経験に頼った意思決定から脱却し、顧客の本音と市場の事実にもとづいて打ち手を決めるための調査活動です。しかし「手法が多すぎて選べない」「実施したが施策に活かせない」という声は後を絶ちません。

本記事では、マーケティングリサーチの定義と市場調査との違いから、代表的な手法12選・やり方5ステップ・費用相場・失敗パターンまでを一気に整理します。

読み終えるころには、自社の課題に合う調査手法を選び、明日から調査設計に着手できる状態になります。BtoB企業のマーケティング・営業・人事担当者の方に向けた実務ガイドです。

この記事の監修・運営情報 

運営企業:ラーナーズ株式会社 Interviewz(インタビューズ)/ヒアリングDXブログ編集部

監修:Interviewz プロダクトチーム(ヒアリング・診断コンテンツ設計の支援実績をもとに監修)

専門領域:BtoB/BtoCのヒアリング設計、アンケートUX、診断コンテンツによるCVR改善

編集方針:自社で累計数百社のヒアリング・アンケート設計を支援してきた知見と、一次情報・公開統計にもとづいて執筆しています。

マーケティングリサーチとは?定義と市場調査との違い

マーケティングリサーチとは、企業が市場環境・顧客ニーズ・消費者行動などを体系的に収集・分析し、マーケティング上の意思決定に活かす調査活動のことです。

単に「アンケートを取ること」ではありません。解くべき経営課題を定義し、必要なデータを設計して集め、意思決定できる形に翻訳するまでの一連のプロセスが本来のマーケティングリサーチです。

マーケティングリサーチの定義と役割

マーケティングリサーチの本質的な役割は、「意思決定の不確実性を下げること」にあります。新商品を出すべきか、価格をいくらに設定するか、どのセグメントに広告を打つか——こうした判断は本来、確率的な賭けです。

そこにデータという根拠を持ち込み、失敗する確率を下げ、成功したときの再現性を高めるのがリサーチの価値です。

そのため、実務では「調査そのもの」よりも「調査の前後」が重要になります。前段では課題と仮説の言語化、後段では分析結果を施策に落とし込む翻訳作業。この2つが弱いと、どれだけ精緻な調査を行っても成果につながりません。

市場調査(マーケットリサーチ)との違い

「市場調査」と「マーケティングリサーチ」は混同されがちですが、対象範囲と時間軸が異なります。市場調査は市場の現在の構造(規模・シェア・競合)を捉えるのに対し、マーケティングリサーチは顧客心理や将来の行動予測まで含む、より広い概念です。

実務上は「市場調査はマーケティングリサーチの一部」と理解しておけば十分です。以下の表で違いを整理します。

比較項目 市場調査(マーケットリサーチ) マーケティングリサーチ
主な対象 市場規模・シェア・競合・チャネル構造 顧客ニーズ・購買心理・行動・満足度・ブランド評価
時間軸 過去〜現在の実態把握が中心 過去〜現在に加え、将来の需要予測・仮説検証まで
主な問い 「市場はどうなっているか」 「顧客はなぜそう行動するのか」「次に何をすべきか」
主な手法 デスクリサーチ・統計データ分析・POSデータ分析 アンケート・インタビュー・行動観察・A/Bテストなど多様
活用場面 事業計画・参入判断・市場予測 商品開発・価格設定・販促設計・CX改善・営業改善

マーケティングリサーチが今あらためて重要視される4つの理由

近年、リサーチへの投資を増やす企業が増えています。背景には、市場変化のスピードと顧客の多様化があります。ここでは重要視される理由を4つに分けて解説します。

理由1. 顧客ニーズの多様化で「勘」が通用しなくなった

かつては担当者の経験則である程度の精度が出ていました。しかし現在は、同じ属性の顧客でも価値観や情報接触経路が大きく異なります。属性でひとくくりにできない時代だからこそ、実データによるセグメント理解が不可欠です。

理由2. 商品開発・施策の精度と投資効率を高められる

開発の初期段階でニーズ検証を行えば、市場に受け入れられない仕様を早期に切り捨てられます。後工程で気づくほど手戻りコストは跳ね上がるため、リサーチは「コスト」ではなく「損失回避の投資」と考えるのが実務的です。

理由3. 事業リスクを事前に検知できる

価格改定への抵抗感、競合スイッチの兆候、ブランドイメージの毀損——これらは売上データに現れる前に、顧客の意識調査に先行して表れます。定点調査でリスクの予兆を早期に捉えることができます。

理由4. 社内合意形成のスピードが上がる

見落とされがちですが、リサーチは社内政治を動かす武器でもあります。声の大きい人の意見ではなく、顧客の声という共通の根拠があれば、部門横断の合意形成が圧倒的に速くなります。これはBtoB企業ほど効果が大きいポイントです。

マーケティングリサーチの4つの目的

マーケティングリサーチは「なんとなく顧客を知る」ために行うものではありません。目的を1つに絞るほど、調査の精度と使いやすさは上がります。ここでは代表的な4つの目的を整理します。

目的1. 顧客ニーズ・インサイトの把握

最も一般的な目的が、顧客が何を求め、何に困っているかを明らかにすることです。ここで重要なのは、「顧客が言っていること(ウォンツ)」と「本当に困っていること(ニーズ)」は別物だという点です。

顧客は「もっと安くしてほしい」と言いますが、実際の不満は「価格に見合う価値が伝わっていないこと」かもしれません。言葉の裏側にある文脈を掘るには定性調査が有効で、その仮説を定量調査で検証するのが定石です。

目的2. 市場規模・トレンド・競合の把握

参入判断や事業計画の前提となるのが、市場規模とその成長性です。公開統計・業界レポート・競合のIR資料といった二次データ(デスクリサーチ)から着手するのがコスト効率的です。

そのうえで、公開データでは埋まらない空白(自社カテゴリの認知率、競合との併用状況など)を一次調査で補完します。最初から一次調査を回すのは非効率なので、順序を守りましょう。

目的3. 商品・サービスの改善と新規開発

コンセプト受容性テスト、ネーミング評価、パッケージ評価、価格受容性調査(PSM分析)などが該当します。「作る前に聞く」ことで、開発の空振りを大幅に減らせます

特に価格については、単純に「いくらなら買いますか」と聞くのではなく、高すぎる/安すぎると感じる価格帯を複数の設問で聞くPSM分析を用いると、実務で使える価格レンジが導けます。

目的4. 施策の効果測定と課題特定

広告出稿の前後で認知率・購入意向を測る「広告効果測定」、既存顧客の満足度やNPS®を測る「CX調査」などが代表例です。施策の前に基準値(ベースライン)を取っておくことが何より重要です。

ベースラインがないと、施策後に数値を取っても「良くなったのか」が判断できません。効果測定は施策実行前から設計に組み込むのが鉄則です。

定量調査と定性調査の違い【比較表】

マーケティングリサーチの手法は、大きく「定量調査」と「定性調査」に分かれます。両者は優劣ではなく役割の違いであり、組み合わせて使うことで真価を発揮します

比較項目 定量調査 定性調査
明らかにすること 「どれくらい」(規模・割合・傾向) 「なぜ」「どのように」(理由・文脈・感情)
主な手法 ネットアンケート、会場調査、ホームユーステスト、電話・郵送調査 デプスインタビュー、グループインタビュー、行動観察、ソーシャルリスニング
データ形式 数値・比率(統計処理が可能) 発言録・映像・テキスト(解釈が必要)
サンプル数の目安 100〜1,000名以上 5〜30名程度
メリット 客観性が高く、社内説得力がある。比較・時系列分析ができる 想定外の発見が得られる。仮説がない段階でも実施できる
デメリット 用意した選択肢の外側は見えない。仮説がないと設問が作れない 統計的な代表性がない。分析者のスキルに結果が左右される
向く場面 仮説の検証、意思決定の根拠づくり、効果測定 仮説の発見、コンセプト探索、顧客理解の深掘り

王道は「定性で発見し、定量で検証する」流れ

実務で最も成果が出やすいのは、定性調査で仮説を発見し、定量調査でその仮説を検証する2段構えです。いきなり定量調査を回すと、そもそも聞くべき選択肢が抜け落ちている——という事態が起こりがちです。

逆に、すでに社内に有力な仮説があり、経営判断のための客観的な根拠が必要な場合は、定量調査から入って構いません。「今、自社に仮説はあるか」を基準に順序を決めてください。

マーケティングリサーチの手法12選【一覧比較表】

ここからは、実務で使われる代表的な調査手法12種類を紹介します。まずは一覧比較表で全体像を掴み、そのうえで各手法の詳細を確認するのが効率的です。

分類 手法 特徴 費用目安 期間目安
定量 1. オンラインアンケート 短期間で大量サンプルを収集。最も汎用性が高い 10万円〜/セルフ型なら数千円〜 3日〜2週間
定量 2. 会場調査(CLT) 試作品・パッケージを実物で評価してもらう 50万〜100万円(100名規模) 3週間〜1か月
定量 3. ホームユーステスト(HUT) 自宅で一定期間使ってもらい実使用下で評価 50万〜100万円 1〜2か月
定量 4. 電話・郵送調査 ネット非利用層・高年齢層にリーチできる 50万円〜(500名規模の郵送) 1〜2か月
定量 5. A/Bテスト 実際の行動データで施策効果を比較検証 ツール費用のみ(数万円〜) 2週間〜1か月
定性 6. デプスインタビュー 1対1で深層心理・購買文脈を掘り下げる 1名あたり8,000円〜10万円 2週間〜1か月
定性 7. グループインタビュー 5〜6名の座談会形式。相互作用で発言が広がる 1グループ100万〜150万円 3週間〜1か月
定性 8. オンラインインタビュー 全国から対象者を集められ、移動コストが不要 対面比で3〜5割安 1〜3週間
定性 9. 行動観察調査(エスノグラフィ) 本人も自覚していない無意識の行動を捉える 数十万円〜 1〜2か月
定性 10. エキスパートインタビュー 業界の専門家・キーパーソンから構造的知見を得る 1名あたり2万〜5万円以上 2週間〜1か月
その他 11. ソーシャルリスニング SNS上の自然発生的な生の声を大量に収集 ツール月額数万円〜 随時(常時観測可)
その他 12. デスクリサーチ・行動ログ分析 公開統計や自社ログを分析。最も低コストで着手できる ほぼ無料〜 数日〜2週間

手法1. オンラインアンケート(ネットリサーチ)

Web上で調査票に回答してもらう、最も広く使われている定量調査です。調査会社のモニターパネルを使えば、性別・年代・職種・購買経験などの条件で対象者を絞り込み、数日で数百〜数千の回答を集められます。

判断基準としては、「聞くべき項目がすでに決まっている」「数値で意思決定の根拠を作りたい」場合に最適です。一方、設問設計を誤ると誘導的な結果になりやすいため、選択肢の網羅性と「あてはまるものはない」の逃げ道を必ず用意してください。

手法2. 会場調査(CLT/セントラル・ロケーション・テスト)

会場に対象者を集め、試作品・パッケージ・広告表現などを実際に見て・触れて・食べて評価してもらう手法です。Web上では伝わらない質感・味・重量感といった五感情報を評価できるのが最大の強みです。

食品・飲料・化粧品・日用品など、実物の体験が購買を左右するカテゴリで威力を発揮します。注意点は、会場という非日常環境が評価を甘くする傾向があること。実使用環境に近づけたい場合は次のHUTと組み合わせます。

手法3. ホームユーステスト(HUT)

商品サンプルを自宅に送り、数日〜数週間、日常生活のなかで使ってもらったうえで評価を回収する手法です。使用直後の印象だけでなく、飽きや使い勝手といった時間経過による評価変化を捉えられます。

「初回は好評だが継続使用で不満が出る」といったリピート率に直結する課題を事前に発見できる点が価値です。一方で調査期間が長く、サンプル配送コストもかかるため、リリース直前の最終検証として使うのが現実的です。

手法4. 電話・郵送調査

デジタル化が進んだ現在でも、ネットを日常的に使わない層や高年齢層にリーチする手段として有効です。自治体調査、医療・介護分野、地方の中小事業者調査などでは今も主力です。

回収率は郵送で20〜40%程度が一般的で、督促状の送付や返信用封筒の同封、謝礼の事前同封で回収率は大きく変わります。コストと期間はネット調査より数倍かかる点は許容が必要です。

手法5. A/Bテスト

2つ以上のパターンを実際のユーザーに出し分け、どちらが成果指標(CVR・クリック率など)で優れるかを行動データで比較する手法です。「聞いた意見」ではなく「実際の行動」で判断できる点が他の手法にない強みです。

注意点は、統計的に有意な差が出るまで十分なサンプルを溜めること。数十件の差で勝敗を判断すると、偶然のブレを効果と誤認します。事前に必要サンプル数を計算してから走らせてください。

手法6. デプスインタビュー(1対1インタビュー)

調査員と対象者が1対1で60〜90分程度対話し、購買に至った文脈・迷ったポイント・言語化されていない不満を深く掘り下げる手法です。定性調査の中核といえます。

BtoBでは特に有効で、意思決定プロセスに複数人が関与する購買(稟議・比較検討・社内説得)の実態は、アンケートではほぼ捉えられません。5〜10名でも十分に有益な仮説が得られます。

手法7. グループインタビュー(座談会)

5〜6名程度を1グループとして90〜120分の座談会を行う手法です。参加者同士の発言が刺激となり、1対1では出てこない本音や共感・反発が可視化されます

ただし、声の大きい参加者に意見が引っ張られる「同調圧力」がリスクです。熟練したモデレーターの進行スキルが結果を大きく左右するため、外注時はモデレーターの経験を必ず確認しましょう。

手法8. オンラインインタビュー

Web会議ツールを使い、全国・海外の対象者にリモートで実施する手法です。会場費・交通費・謝礼の移動分がかからず、対面比で3〜5割程度コストを抑えられます。

加えて、希少な対象者(特定業界の役職者、地方在住者など)をリクルーティングしやすいのが大きな利点です。一方、手元の資料や現物の共有には工夫が必要で、通信環境による中断リスクも織り込んでおきましょう。

手法9. 行動観察調査(エスノグラフィ)

対象者の生活や業務の現場に入り込み、実際の行動を観察・記録する手法です。「本人が語る行動」と「実際の行動」のギャップを発見できるのが最大の価値です。

たとえば「毎日使っています」と答えた人が、実際には週2回しか使っていない——といった事実は観察でしか掴めません。調査対象者本人が無意識に行っている工夫や不便の回避行動から、商品改善の種が見つかります。

手法10. エキスパートインタビュー

業界アナリスト、有識者、元業界関係者などに話を聞く手法です。市場の構造・商習慣・規制動向といった「文脈知識」を短時間で得られる点が特徴です。

新規参入検討やBtoB領域の調査で特に有効で、数名へのヒアリングで数か月分のデスクリサーチに匹敵する情報が得られることも珍しくありません。単価は高めですが、費用対効果は高い手法です。

手法11. ソーシャルリスニング

X(旧Twitter)、Instagram、口コミサイトなどの投稿を収集・分析し、企業がコントロールできない場所で語られている生の評価を把握する手法です。

アンケートと違い、聞かれていないのに自発的に語られた内容であるため、関心の強さが本物である点が価値です。ただし投稿者の属性が偏るため、「世の中の平均」ではなく「発信力のある層の声」として解釈する必要があります。

手法12. デスクリサーチ・行動ログ分析

官公庁の統計、業界団体レポート、競合のIR資料、自社のアクセス解析やCRMデータなど、既存データを活用する手法です。追加コストがほぼかからず、最も早く着手できます。

実務では、いきなり一次調査を企画する前に必ずデスクリサーチを行うのが鉄則です。すでに答えが存在する問いに数十万円を投じるのは典型的な無駄。「調べれば分かることは調べてから聞く」を徹底しましょう。

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調査票の質問項目一覧表【そのまま使える設問例】

手法が決まっても、設問の質が低ければ得られるデータの質も低くなります。ここでは調査票の標準構成と、目的別にそのまま使える設問例を一覧化しました。

ブロック 目的 設問例 回答形式
スクリーニング 対象者条件の絞り込み 直近6か月以内に、業務で〇〇を購入・検討しましたか 単一選択
属性 集計軸の確保 業種/従業員規模/役職/担当業務 単一選択
認知・利用実態 市場ポジションの把握 次のサービスのうち、名前を知っているものをすべてお選びください 複数選択
課題・ニーズ インサイトの発見 現在の業務で最も課題に感じていることは何ですか 自由記述
重視項目 選定基準の特定 ツール選定時に重視する項目を、重要な順に3つお選びください 順位付け
満足度 現状評価の定量化 現在利用中のサービスの満足度をお答えください 5段階尺度
NPS® 推奨度・ロイヤルティ測定 知人にすすめる可能性はどのくらいですか(0〜10) 11段階尺度
価格受容性 価格レンジの導出 高すぎて買えないと感じる価格/安すぎて品質が不安な価格 数値入力(PSM)
購入意向 需要予測 このサービスを利用したいと思いますか 5段階尺度
自由記述 想定外の発見 改善してほしい点があればご自由にお書きください 自由記述

設問設計で必ず守るべき3つのルール

第一に、ダブルバーレル質問(1つの設問で2つのことを聞く)を避けることです。「価格と機能に満足していますか」は、どちらへの評価か分からず、集計不能なデータになります。

第二に、誘導的な表現を排除すること。「便利な〇〇機能について、どう思いますか」は、すでに「便利」という前提を植え付けています。形容詞は極力削ぎ落としてください。

第三に、設問数は最小限に絞ること。設問が増えるほど回答途中の離脱が増え、後半の回答品質も落ちます。目安としてWebアンケートは10〜15問、所要5分以内に収めるのが理想です。

マーケティングリサーチのやり方5ステップ

マーケティングリサーチのやり方は、「企画→設計→実査→分析→報告」の5ステップに整理できます。成果の8割は最初のステップ1で決まると言っても過言ではありません。

ステップ1. 企画(課題定義と仮説構築)

最初に行うのは、「この調査でどんな意思決定をしたいのか」を1文で言い切ることです。「顧客理解を深めたい」では不十分で、「新プランの価格を9,800円と14,800円のどちらにするか決めたい」まで具体化します。

次に、現時点での仮説を立てます。仮説がないまま調査すると、結果が出ても「へえ」で終わります。「価格より導入工数がネックだと思われる」といった仮説があれば、それを検証・反証する設問を設計できます。

このステップでは、調査結果が「A」だったら何をする、「B」だったら何をする、というアクション対応表を先に作っておくと、調査が確実に意思決定につながります。

ステップ2. 調査設計・計画

課題と仮説が固まったら、手法・対象者条件・サンプルサイズ・設問項目・スケジュール・予算を具体化します。ここで最も間違いが起きやすいのが対象者条件です。

「マーケティング担当者」という曖昧な条件では、実態と異なる層が混ざります。「従業員100名以上の企業で、年間予算500万円以上の裁量を持つマーケティング担当者」のように具体化してください。

サンプルサイズは、全体傾向の把握なら400サンプル程度で誤差±5%以内が目安です。ただしセグメント別に分析したい場合は、各セグメントで最低30〜100サンプルを確保する必要があります。

ステップ3. 調査実施(データ収集)

調査票が完成したら、必ず本番前にプレテスト(10〜20名程度の試験配信)を行ってください。誤字、分岐設定のミス、想定外の回答パターンは、この段階でほぼ発見できます。

本番実施中は、回収状況とセグメント別の充足率をモニタリングします。特定セグメントだけ回収が遅れる場合は、配信量の調整や条件緩和を早めに判断しましょう。

回答率を高めるには、依頼文で所要時間と目的を明示し、回答が施策にどう活かされるかを伝えることが効果的です。インセンティブの設計も回収率に直結します。

▼回答率を高めるアンケート設計のコツを体系的に知りたい方はこちら
👉 ユーザーからの回答率の高いアンケートの作り方【6つのコツ】を無料ダウンロード

ステップ4. 集計・分析

まずはデータクリーニングから始めます。極端に短い回答時間(スピード回答)、すべて同じ選択肢を選ぶ「ストレートライン回答」、矛盾回答などを除外します。ここを飛ばすと分析結果が歪みます。

次に単純集計(GT)で全体像を掴み、クロス集計でセグメント間の差を見るのが基本の流れです。属性別・利用状況別・満足度別といった軸で切り、差が出る箇所を探します。

さらに深掘りが必要なら、因子分析・クラスター分析・決定木分析といった多変量解析を用います。ただし、高度な分析が必ずしも良い示唆を生むわけではありません。クロス集計で十分なケースが大半です。

ステップ5. 報告・意思決定

最後は、「事実」と「解釈」と「提言」を明確に分けて報告することです。混ぜて書くと、読み手は何が根拠で何が意見か判断できなくなります。

レポート構成の基本形は、①結論(3行)→②根拠となる主要データ→③推奨アクション→④詳細データです。意思決定者は最初の1ページしか読まない前提で作りましょう。

そして最も大切なのが、報告して終わりにしないこと。ステップ1で作ったアクション対応表に戻り、「誰が・いつまでに・何をするか」を決めてクローズしてください。

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自社に合う調査手法の選び方7つのコツ

手法選定で迷ったときは、「目的」「フェーズ」「予算」「スピード」「対象者」「社内リソース」「再現性」の7軸で考えると整理できます。ここでは各軸を判断基準とともに解説します。

コツ1. まず「調査フェーズ」で定性か定量かを決める

最初の分岐は、自社が「探索フェーズ」にいるのか「検証フェーズ」にいるのかです。何が課題かも分かっていない段階なら定性調査、仮説があり数値の裏づけが欲しい段階なら定量調査が適します。

判断に迷ったら、「この調査で聞くべき選択肢を、いま自分で書き出せるか」と自問してください。書き出せないなら定性から入るべきサインです。逆に、選択肢が明確なら定量で一気に検証したほうが早く安く済みます。

コツ2. 「意思決定の重さ」でサンプル数と精度を決める

数千万円の投資判断と、LPの見出し変更では、必要な精度がまったく違います。意思決定の可逆性とインパクトに応じて、かける調査コストを変えるのが合理的です。

後から簡単に戻せる施策(広告文言、メール件名)は、精緻な調査よりA/Bテストで実地検証したほうが速く正確です。一方、撤回できない意思決定(設備投資、新規事業参入)にはサンプル数を厚く取ります。

コツ3. 対象者の「出現率」で手法とコストを見積もる

見落とされがちですが、調査コストを最も左右するのは対象者の出現率(母集団に占める割合)です。出現率1%の対象者を100名集めるには、1万人にスクリーニングをかける必要があります。

希少な対象者を狙う場合は、大規模パネルよりも、既存顧客リストや業界ネットワークを使ったリクルーティングのほうが安く速いことが多くあります。自社のハウスリストを最初に検討してください。

コツ4. 「聞く」より「見る」で分かることは観察・ログで取る

行動に関する事実は、本人の記憶に頼るアンケートより、ログデータや観察のほうが正確です。「月に何回使いますか」と聞くより、利用ログを見たほうが実態が分かります。

アンケートで聞くべきは、ログに残らない「理由」「感情」「検討時の比較対象」です。この使い分けができると、調査設計の無駄が大きく減ります。

コツ5. スピードを優先するならセルフ型ツールを使う

調査会社にフルサポートで依頼すると、企画から報告まで1〜2か月かかるのが一般的です。意思決定の期限が2週間後なら、セルフ型のアンケートツールで自走したほうが確実です。

近年のセルフ型ツールは条件分岐・スコアリング・自動集計まで標準搭載されており、簡易な調査であれば外注品質に十分近づけます。判断基準は「分析設計を自社でできるか」です。

コツ6. 社内リソースと専門性で内製・外注を切り分ける

内製と外注の判断は、コストだけで決めるべきではありません。「客観性が必要か」「高度な統計解析が必要か」の2点が実質的な分岐点です。以下の表で整理します。

比較項目 内製 外注
コスト 低い(ツール費・謝礼などの実費のみ) 高い(数十万〜数百万円)
スピード 速い(数日〜2週間) 遅い(1〜2か月)
専門性 担当者のスキルに依存 調査設計・多変量解析まで対応可能
客観性 社内バイアスが入りやすい 第三者性が担保され、社外提出にも使える
向く調査 既存顧客への満足度調査、施策の簡易検証、営業ヒアリング 大規模市場調査、新規事業の投資判断、対外発表用の調査

現実的な最適解は「内製と外注のハイブリッド」です。探索段階の小さな検証は内製で高速に回し、意思決定の重い調査だけ外注する運用が、コストと精度のバランスに優れます。

コツ7. 「一度きり」ではなく「定点で回せるか」で選ぶ

単発調査は、その時点のスナップショットしか得られません。同じ設問で継続的に測ることで、変化の兆しと施策効果が見えるようになります

そのため手法選定では、「この調査を四半期ごとに回し続けられるか」を基準に入れることをおすすめします。運用負荷が高すぎる手法は、たとえ精度が高くても定着しません。

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マーケティングリサーチの費用相場と予算を抑える5つの方法

「リサーチはお金がかかる」というイメージが先行しがちですが、手法と実施方法を選べば数万円規模から始められます。まずは相場を把握しましょう。

調査手法 費用相場(外注) 費用相場(内製・セルフ型)
インターネット調査 10万円程度〜(100名・10問) 1問あたり500円程度〜
郵送調査 50万円程度〜(500名規模) 印刷・郵送実費+集計工数
会場調査(CLT) 50万〜100万円(100名規模) 会場費+謝礼の実費
ホームユーステスト 50万〜100万円 サンプル送付費+謝礼
グループインタビュー 1グループあたり100万〜150万円 会場費+謝礼+モデレート工数
デプスインタビュー 一般消費者8,000〜10,000円/人、経営層・専門職2万円以上/人、フルサポート5万〜10万円/人 謝礼のみ(自社実施の場合)
覆面調査(ミステリーショッパー) 数千円〜2〜3万円/店舗
行動観察調査 数十万円〜 担当者の稼働工数

※上記は一般的な市場相場の目安です。実際の金額は対象者条件・設問数・分析範囲によって大きく変動します。

費用を左右する4つの変数

見積金額は、主に①調査対象人数、②設問数、③対象者の出現率、④集計・分析の依頼範囲の4つで決まります。この構造を理解していると、見積の交渉余地が見えてきます。

特に効くのが設問数で、1問削るだけで数万円単位の削減になるケースもあります。「あったら面白い」設問を削り、「意思決定に直結する」設問だけを残しましょう。

予算を抑える5つの方法

限られた予算でも成果を出すために、実務でよく使われる方法を5つ紹介します。いずれも調査品質を落とさずにコストを下げられる手段です。

方法1. 設問を「意思決定に直結するもの」だけに絞る

調査票を作ると、必ず「ついでに聞いておきたい」設問が増えます。しかし使わないデータを集めるコストは、金額だけでなく回答者の離脱としても跳ね返ります。設問ごとに「この回答で何を決めるか」を書けないものは削りましょう。

方法2. セルフ型ツールを活用する

セルフ型のアンケート・ヒアリングツールを使えば、同じ予算で数倍のサンプル数を確保できるケースがあります。定型的な満足度調査や簡易な認知調査は、セルフ型で十分な精度が出ます。

方法3. 繁忙期(1〜3月)を避ける

調査会社は年度末に案件が集中し、割増料金やスケジュール遅延が発生しやすくなります。時期を選べる調査であれば、閑散期に寄せるだけで数%〜十数%のコスト差が生まれます。

方法4. オンライン化で諸経費を削る

インタビューや会場調査をオンラインに切り替えると、会場費・交通費・移動時間分の謝礼が不要になります。対面でなければ評価できない要素(触感・味など)がなければ、オンライン化を第一候補にしましょう。

方法5. 複数社から相見積もりを取る

同じ調査仕様でも、会社によって20〜30%の見積差が出ることは珍しくありません。最低2〜3社に同じ仕様書で依頼し、金額だけでなく「調査設計への提案の質」も比較してください。

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集計・分析の進め方と施策への活かし方

マーケティングリサーチの成否は、集めた後の「翻訳作業」で決まります。ここでは実務で使う分析手法と、施策への落とし込み方を解説します。

基本の3段階:単純集計→クロス集計→多変量解析

まず単純集計(GT表)で全体の分布を確認します。この段階で「想定と違う」箇所にマークを付けておくと、後の分析の起点になります。

次にクロス集計で、属性別・利用状況別に差を見ます。実務の示唆の8割はここで得られます。「全体では40%だが、従業員300名以上に絞ると65%」といった発見が、ターゲティングの根拠になります。

さらに構造を知りたい場合に多変量解析を使います。満足度に効く要因を特定する回帰分析、顧客を類型化するクラスター分析、離反を分けるポイントを見つける決定木分析などが代表的です。

自由記述はテキストマイニングで構造化する

自由記述は宝の山ですが、そのまま読むだけでは主観的な拾い読みになりがちです。頻出語の集計、共起ネットワーク、感情分析などで構造化してから、代表的な生の声を引用する流れが有効です。

近年は生成AIによる要約・分類が実務レベルで使えるようになり、数百件の自由記述を数分でカテゴリ分けできるようになりました。ただし引用する生の声は必ず原文を確認してください。

「事実」と「解釈」と「提言」を分けて報告する

レポート作成で最も重要なのが、この3層の切り分けです。「回答者の62%が導入工数を懸念(事実)」「これは既存業務との統合負荷が想起されているため(解釈)」「オンボーディング支援を訴求に追加すべき(提言)」という構造にします。

この分離ができていると、読み手が解釈に異論を持っても、事実は共有資産として残ります。逆に混ぜて書くと、解釈への反論が調査全体の否定につながってしまいます。

調査結果を施策に落とし込む3つのアウトプット

調査を成果につなげるには、「読んで終わり」のレポートではなく、次の行動を規定するアウトプットに変換する必要があります。実務では次の3つが有効です。

アウトプット1. ペルソナ・カスタマージャーニーの更新

定性調査で得た文脈を、実在の顧客像として社内共有できる形に落とすことで、施策の議論が具体化します。既存ペルソナがある場合は、調査結果で上書き・修正することが重要です。

アウトプット2. 訴求メッセージ・営業トークの改訂

「重視項目」「懸念点」の調査結果は、そのままLPの見出し、営業資料の構成、初回商談のヒアリング項目に転用できます。調査で上位に来た懸念には、先回りして回答を用意しておきましょう。

アウトプット3. 定点モニタリング指標の設定

調査で明らかになった重要指標(認知率、満足度、NPS®など)を四半期ごとの定点指標として設定すれば、リサーチが単発イベントではなく経営のモニタリング機能に変わります。

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マーケティングリサーチのメリットと実施時の注意点

ここでは、マーケティングリサーチを実施することで企業が得られる5つのメリットと、実務で押さえるべき注意点を整理します。

メリット1. 意思決定の精度が上がり、失敗コストが下がる

最大のメリットは、「やってみないと分からない」領域を減らせることです。事前に受容性を検証しておけば、大きな投資を伴う施策の空振りを防げます。

特に新商品開発では、開発が進むほど方向転換のコストが跳ね上がります。企画段階で数十万円の調査を挟むことが、数千万円の損失回避につながるケースは珍しくありません。

メリット2. 顧客満足度とブランド価値が向上する

調査を通じて顧客の不満を先回りして解消できれば、解約率の低下とLTVの向上に直結します。さらに「意見を聞いてくれる企業」という認識自体が、ロイヤルティを高めます。

実務では、調査結果を受けた改善内容を顧客にフィードバックすることが効果的です。「いただいた声をもとに改善しました」という発信は、次回の回答率も引き上げます。

メリット3. 経営資源を最適配分でき、ROIが改善する

限られた予算・人員をどこに投じるかは、経営の中心的な問いです。反応の良いセグメント・チャネル・訴求が事前に分かれば、同じ投資でより大きなリターンが得られます

逆に、効果の出ていない施策を「なんとなく継続する」ことを止められるのもリサーチの効用です。撤退判断の根拠としても機能します。

メリット4. 社内の意思決定スピードが上がる

データという共通言語があると、部門間の議論が「意見の対立」から「事実の解釈」へと質的に変わります。結果として、意思決定に要する会議回数が減ります。

BtoB企業では特に、営業部門とマーケティング部門の認識ギャップを埋める共通材料としての価値が大きく、リード品質をめぐる不毛な議論を減らせます。

メリット5. 新しい市場機会を発見できる

想定外の使われ方、想定外の顧客層——これらは探索型の定性調査や自由記述からしか見つかりません。既存の枠組みでは見えなかった需要が、新規事業の起点になることがあります。

そのためにも、調査票には必ず「その他」「自由記述」の逃げ道を残しておくことをおすすめします。仮説の外側にこそ機会が眠っています。

実施する際の注意点と対策

一方で、リサーチには固有の落とし穴もあります。実務で最低限押さえるべき注意点は次の3つです。

注意点1. 目的が曖昧なまま実施しない

「とりあえず顧客の声を聞こう」で始めた調査は、ほぼ確実に「参考になりました」で終わります。ステップ1で解説した通り、意思決定の内容を1文で書けるまで企画を詰めてください。

注意点2. バイアスと誤差を織り込む

サンプルの偏り(サンプリングバイアス)、誘導的な設問(質問バイアス)、回答者が良く見せようとする傾向(社会的望ましさバイアス)は、完全には排除できません

対策は、複数の手法・複数のデータソースで結論を照合する(トライアンギュレーション)ことです。アンケート結果と行動ログが食い違ったら、行動ログを信じるのが基本です。

注意点3. 個人情報・プライバシーへの配慮

調査で取得する情報は個人情報にあたる場合があります。利用目的の明示、同意取得、保管期間と廃棄方法の明確化、外部委託時の管理体制確認を必ず実施してください。

謝礼の受け渡しで氏名・住所を取得する場合は特に注意が必要です。デジタルギフトを使えば、個人情報を取得せずに謝礼を配布できるため、リスクと運用負荷を同時に下げられます。

よくある失敗5パターンと回避策

マーケティングリサーチが「意味がない」と言われるとき、その原因はほぼ決まったパターンに収まります。ここでは代表的な5つの失敗と回避策を解説します。

失敗1. 調査が目的化し、結果が使われない

最も多い失敗が、「調査を実施したこと」自体がゴールになってしまうパターンです。立派なレポートが出来上がるものの、施策は何も変わりません。

回避策は、企画段階でアクション対応表(結果がAならX、BならY)を作っておくこと。これがあると、報告会が「感想会」ではなく「意思決定の場」になります。

失敗2. サンプルの偏りを見落とす

既存顧客だけに聞いて「満足度が高い」と結論づけるのは典型例です。すでに離脱した顧客や、検討して選ばなかった見込み客の声が完全に抜け落ちています

回避策は、「誰に聞いていないか」を必ず確認することです。特に解約者・失注顧客へのヒアリングは、既存顧客調査の10倍の示唆をもたらすことがあります。

失敗3. 確証バイアスで都合よく解釈する

社内で推している案を後押しするデータだけを拾い、不都合な数値を「サンプルが少ないから」と切り捨てる——これが確証バイアスです。

回避策は、分析前に「どの数値が出たら仮説を棄却するか」を宣言しておくこと。基準を先に決めておけば、後付けの言い訳が効かなくなります。第三者にレビューしてもらうのも有効です。

失敗4. 設問設計のミスでデータが使えない

ダブルバーレル質問、選択肢の漏れ、尺度の不統一——これらは集計段階で初めて発覚し、取り返しがつきません。調査費用がまるごと無駄になります。

回避策はプレテストの徹底です。10〜20名に先行配信し、集計まで通してみる。この一手間で、致命的なミスのほとんどが防げます。

失敗5. 調査に時間をかけすぎ、意思決定の機会を逃す

完璧な調査を目指すあまり、結論が出る頃には市場環境が変わっているというケースです。特に変化の速い領域では致命的です。

回避策は、「意思決定の期限」から逆算して調査規模を決めること。精度70%で2週間の調査と、精度95%で3か月の調査なら、前者のほうが価値が高い場面は多くあります。

マーケティングリサーチの実践事例

ここでは、実務でよくある3つのシーンについて、どのようにリサーチを設計し、どんな成果につなげるかを具体的に紹介します。

事例1. BtoB SaaS:失注理由の可視化で商談化率を改善

あるBtoB SaaS企業では、商談化率の伸び悩みを「リード品質の問題」と捉えていました。そこで失注顧客20社へのデプスインタビューを実施したところ、実際の失注理由は価格ではなく「導入後の運用体制が想像できない」ことでした。

この発見を受け、営業資料に導入後90日間のオンボーディング計画を追加。さらに初回商談のヒアリング項目に「運用担当者の想定」を追加したことで、商談化率が改善しました。

ポイントは、既存顧客ではなく失注顧客に聞いたことです。買ってくれた人の声だけでは、買わなかった理由は永遠に分かりません。

事例2. 人材・派遣業:定着率向上のための定点ヒアリング

派遣スタッフの早期離職に悩む企業では、就業開始1か月・3か月・6か月のタイミングで定点ヒアリングを実施する仕組みを構築しました。

紙やメールでは回収率が上がらなかったため、スマートフォンで数分で回答できるチャット形式のヒアリングに切り替え。結果として回答率が向上し、離職の予兆となる不満を早期に検知できるようになりました。

ポイントは、聞くタイミングを固定して定点化したこと。離職者に理由を聞くのではなく、離職する前に兆候を掴む設計に変えた点が成果につながっています。

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事例3. Web制作・広告:診断コンテンツで潜在層のニーズを収集

問い合わせ前の潜在層はアンケートに答えてくれません。そこで「自社に合う〇〇診断」という診断コンテンツを設置し、回答の過程でニーズ情報を取得する手法が有効です。

診断はユーザーにとって「答えるメリット」が明確なため、通常のフォームより完了率が高くなります。得られた回答データはそのままセグメント別のナーチャリングに活用できます。

ポイントは、調査と集客を一体化させたこと。リサーチをコストセンターではなく、リード獲得の起点として設計している点が特徴です。

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生成AI×マーケティングリサーチの最新動向

2026年現在、マーケティングリサーチの実務は生成AIの普及によって大きく変わりつつあります。ここでは実務で使える活用領域と、使ってはいけない領域を整理します。

活用領域1. 調査設計・設問案の壁打ち

調査目的を入力すれば、設問案・選択肢案・想定される分析軸を短時間で洗い出せます。ゼロから調査票を書く負荷が大幅に下がり、抜け漏れのチェックにも使えます。

ただし生成された設問をそのまま使うのは危険です。自社の文脈に合わない一般論的な設問が混ざるため、必ず人がフィルタリングしてください。

活用領域2. 自由記述・インタビュー録の要約と分類

数百件の自由記述や、数十時間分のインタビュー逐語録をカテゴリ別に自動分類・要約できるようになりました。従来は数日かかっていた作業が数時間に短縮されます。

実務上のコツは、分類軸を人が先に定義して与えること。AIに軸から任せると、分析目的とずれたカテゴリができあがります。

活用領域3. デスクリサーチの効率化

市場規模、競合動向、業界構造といった二次情報の収集は、AIによる検索・要約で大幅に効率化できます。調査の前段整理として非常に有効です。

ただし出典が確認できない数値は絶対に使わないこと。必ず一次情報(官公庁統計、企業IR、業界団体資料)まで遡って裏取りしてください。

活用領域4. 定性調査のスケール化(Qual at Scale)

AIがインタビュアーとして対話形式で深掘りすることで、従来は5〜10名が限界だった定性調査を、数百名規模で実施する試みが広がっています。

定性の深さと定量の規模を両立できる可能性がある一方、予期しない話題への追随や、非言語情報の読み取りは人間のモデレーターに及びません。補完的に使うのが現実的です。

注意点:合成データと「もっともらしい嘘」への警戒

AIが生成した仮想回答者データ(合成データ)を使う手法も登場していますが、実在の顧客の声ではない点を忘れてはいけません。事前検討の材料にはなっても、意思決定の根拠にはなりません。

原則として、重要な意思決定に使う数値や事実は、必ず人が一次情報で検証する。この原則を守る限り、生成AIはリサーチ実務の強力な武器になります。

マーケティングリサーチにはヒアリングツール「Interviewz(インタビューズ)」がおすすめ!

ここまで解説してきた通り、マーケティングリサーチの成否は「聞きたい相手から、聞きたいことを、負担なく聞けるか」にかかっています。この課題を解決するのが、ヒアリングDXツール「Interviewz(インタビューズ)」です。

Interviewzは、チャット形式・タップ操作のヒアリングフォームをノーコードで作成できるツールで、アンケート・診断コンテンツ・営業ヒアリング・顧客満足度調査までを1つの仕組みで運用できます。

Interviewzの主な特徴

Interviewzは、従来のフォームツールとは異なり「回答してもらうこと」自体の設計に強みを持つツールです。主な特徴は次の5点です。

  • 多様な調査形式に対応:アンケート、診断コンテンツ、ヒアリングシート、満足度調査を同一ツールで作成できる
  • 条件分岐設計がノーコードで可能:回答内容に応じて次の設問を出し分け、無駄な質問を省ける
  • EFO(入力フォーム最適化)対応:タップ中心のUIで、スマートフォンからでも数分で完了できる
  • 本音・非言語情報の取得:選択形式と自由記述を組み合わせ、回答負荷を抑えながら深い情報を引き出せる
  • 各種ツールとの連携:取得データをCRM・MAへ連携し、そのままナーチャリングや営業活動に活用できる

導入企業では、リード数268%向上、ヒアリングコスト90%削減といった成果も報告されています。

Interviewzがマーケティングリサーチに向いている理由

数あるツールのなかで、Interviewzがマーケティングリサーチの実務に適している理由を5つに分けて解説します。

理由1. 回答率が高く、必要なサンプル数を確保しやすい

調査の最大のボトルネックは回答が集まらないことです。Interviewzはチャット形式・タップ操作により回答負荷を極限まで下げる設計のため、従来フォームより完了率を高めやすく、同じ配信数でより多くのサンプルを確保できます。

理由2. 条件分岐で「聞くべき人に、聞くべきことだけ」聞ける

全員に同じ20問を聞く必要はありません。スクリーニング結果に応じて設問を出し分ければ、1人あたりの回答時間を短縮しつつ、深い情報を取得できます。設問数削減はコスト削減にも直結します。

理由3. 定量と定性を1つのフローで同時に取得できる

選択式で定量データを取りながら、分岐の先で自由記述を挟むことで、「どれくらい」と「なぜ」を同一回答者から取得できます。定量と定性を別々に発注する手間とコストが不要になります。

理由4. 内製で高速に回せるため、定点調査が定着する

ノーコードで作成できるため、調査会社への発注を待たずに数日で調査を立ち上げられます。四半期ごとの定点モニタリングのように、繰り返し運用する調査ほど効果が大きくなります。

理由5. 調査がそのままリード獲得・営業活動につながる

診断コンテンツ形式にすれば、ニーズ情報の収集とリード獲得を同時に実現できます。取得したデータをCRM・MAに連携すれば、調査結果がそのまま営業のヒアリング材料として機能します。

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よくある質問(FAQ)

Q1. マーケティングリサーチと市場調査は何が違いますか?

A. 市場調査は市場の規模・シェア・競合構造といった「市場の実態」を把握する調査で、マーケティングリサーチはそれに加えて顧客の心理・行動・将来の需要予測まで含む、より広い概念です。実務上は「市場調査はマーケティングリサーチの一部」と理解して問題ありません。

Q2. 定量調査と定性調査は、どちらを先に行うべきですか?

A. 自社に有力な仮説がないなら定性調査が先です。定性で仮説を発見し、定量で検証する流れが王道になります。すでに仮説があり、経営判断のための客観的な数値が必要な場合は、定量調査から入って構いません。判断基準は「聞くべき選択肢を今すぐ書き出せるか」です。

Q3. 予算が限られている場合、どこから始めればよいですか?

A. まずデスクリサーチ(公開統計・競合IR・自社ログの分析)から着手してください。追加コストがほぼかからず、すでに答えがある問いに調査費を投じる無駄を防げます。そのうえで空白が残った部分だけを、セルフ型ツールを使った内製調査で埋めるのが最もコスト効率の良い進め方です。

Q4. サンプル数は何人集めれば十分ですか?

A. 全体傾向の把握であれば400サンプル程度で誤差は±5%以内に収まります。ただしセグメント別に分析したい場合は、各セグメントで最低30〜100サンプルが必要です。定性調査であれば5〜10名でも十分な示唆が得られます。「何人必要か」は分析したい切り口の数から逆算して決めてください。

Q5. 生成AIはマーケティングリサーチにどこまで使えますか?

A. 調査設計の壁打ち、自由記述の分類・要約、デスクリサーチの効率化には実務レベルで活用できます。一方で、AIが生成した仮想回答データ(合成データ)は実在の顧客の声ではないため、意思決定の根拠には使えません。重要な数値や事実は必ず人が一次情報で裏取りすることが原則です。

Q6. 調査結果を成果につなげるコツはありますか?

A. 調査企画の段階で「結果がAならX、BならY」というアクション対応表を作っておくことが最も効果的です。これがあると、報告会が感想会ではなく意思決定の場になります。加えて、レポートでは「事実」「解釈」「提言」を明確に分けて記述し、最後に「誰が・いつまでに・何をするか」を決めてクローズしてください。

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まとめ

マーケティングリサーチは、顧客の本音と市場の事実にもとづいて意思決定の精度を高めるための実務プロセスです。手法の多さに圧倒されがちですが、押さえるべき原則はシンプルです。

本記事の要点を、最後に整理します。

  • 目的を1文で言い切る:「顧客理解を深めたい」ではなく「何を決めたいか」まで具体化する
  • 仮説がなければ定性、あれば定量:聞くべき選択肢を書き出せるかが判断基準
  • デスクリサーチから着手する:調べれば分かることに調査費を使わない
  • 設問は意思決定に直結するものだけ:1問削るだけで数万円のコスト削減になる
  • アクション対応表を先に作る:結果がAならX、BならY を決めておけば調査が必ず施策につながる
  • 事実・解釈・提言を分けて報告する:解釈への反論が調査全体の否定にならない
  • 定点化して初めて価値が最大化する:単発では変化も効果も見えない

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