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STP分析とは?やり方5ステップと成功事例10選【図解・テンプレ付】

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「ターゲットを決めたはずなのに、広告もコンテンツも刺さらない」

その原因の多くは、市場の切り分け方と自社の立ち位置があいまいなまま施策に進んでしまっていることにあります。

STP分析は、市場を細分化し(Segmentation)、狙う市場を決め(Targeting)、その市場での独自の立ち位置を定義する(Positioning)ための、マーケティング戦略の土台となるフレームワークです。

本記事では、STP分析の意味と3要素の関係から、実務でそのまま使えるやり方5ステップ、6Rによるターゲティング評価、ポジショニングマップの作り方、国内外の成功事例10選までを一気に解説します。読み終えたときには、自社の商品・サービスで「誰に・何を・どう伝えるか」を1枚の資料にまとめられる状態を目指します。

この記事の著者・監修 Interviewz(インタビューズ)編集部

ヒアリングDX・アンケート・診断コンテンツのSaaS「Interviewz」を提供するLEARNERZ(ラーナーズ)のマーケティングチームが執筆・監修しています。BtoB/BtoCを問わず、累計多数の企業のヒアリング設計・顧客理解・マーケティングリサーチ支援を通じて蓄積した知見をもとに、リード数268%向上・ヒアリングコスト90%削減などの実績データを踏まえて解説しています。

STP分析とは?意味・目的・重要性をわかりやすく解説

STP分析は、マーケティング戦略を「実行できる形」に落とし込むための出発点です。ここではまず定義と3要素の関係、そして2026年のいま重要性が増している理由を整理します。

STP分析の定義|コトラーが提唱した市場戦略の基本フレームワーク

STP分析とは、Segmentation(市場細分化)・Targeting(狙う市場の決定)・Positioning(自社の立ち位置の明確化)の3つの頭文字をとったマーケティングフレームワークです。「近代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラーによって体系化されました。

目的はシンプルで、「限られた経営資源を、最も勝てる市場に集中させること」にあります。すべての人に向けて同じメッセージを出すのではなく、価値が最も届く相手を見極め、その相手にとって唯一の選択肢になる位置を取りにいく——これがSTP分析の本質です。

重要なのは、STP分析が「分析」という名前でありながら、実態は意思決定のフレームワークだという点です。データを眺めることがゴールではなく、「この市場は狙わない」と切り捨てる判断まで含めて初めて機能します。

STP分析の3要素(S・T・P)の関係性

3要素は独立した分析ではなく、S → T → P という一方向の連鎖で成立します。市場をどう切るか(S)が変われば、狙うべき相手(T)が変わり、伝えるべき価値(P)も変わるためです。

逆に言えば、ポジショニングがうまく決まらないときは、多くの場合セグメンテーションの切り方に問題があります。「差別化できない」と感じたら、Pをこねくり回すのではなくSに戻るのが定石です。

また、STPの前段には市場環境を把握する3C分析やPEST分析、後段には施策に落とし込む4P分析が位置します。3C/PEST(環境把握)→ STP(戦略の方向づけ)→ 4P(施策の具体化)という流れを押さえておくと、STP分析が戦略の「背骨」であることが理解しやすくなります。

STP分析が2026年のいま重要視される3つの理由

STP分析は1960〜80年代に体系化された古典的フレームワークですが、現在むしろ重要性が高まっています。理由は大きく3つあります。

理由1|市場の成熟と価値観の多様化でマスマーケティングが効かなくなった

人口減少と市場の成熟により、多くのカテゴリで「新規需要の総量」が伸びにくくなりました。加えて、同じ年齢・性別でもライフスタイルや価値観は大きく異なります。

「30代女性」といったデモグラフィックだけのくくりでは、購買行動をほとんど説明できなくなっているのが現状です。心理的変数・行動変数を含めた多層的なセグメンテーションが求められています。

理由2|広告費の高騰でターゲット精度が収益性を直接左右する

Web広告の単価は上昇傾向が続き、ターゲットがぼやけたままの配信はCPA(顧客獲得単価)を押し上げます。「誰に届けないか」を決めることが、そのまま広告効率の改善につながる時代です。

STP分析で狙う市場を絞り込めば、配信設定・クリエイティブ・LPのメッセージまで一貫して最適化でき、同じ予算でも成果が変わります。

理由3|サードパーティCookie依存の低下で一次データの価値が上がった

プライバシー規制の強化やトラッキング制限により、外部データに頼ったターゲティングは精度が落ちています。代わりに重要度が増しているのが、アンケート・ヒアリング・診断コンテンツなどで自社が直接取得する一次データ(ゼロパーティデータ)です。

顧客が自ら申告した課題・価値観・利用シーンは、推定データより圧倒的に解像度が高く、セグメンテーションの軸そのものを作る材料になります。

STP分析で得られる4つのメリット

STP分析を実施することで、次のような効果が期待できます。

  • 不毛な価格競争を回避できる:競合と同じ土俵を避け、独自の評価軸で選ばれる状態をつくれる
  • マーケティング投資の効率が上がる:狙う相手が明確になり、広告・コンテンツ・営業リソースの無駄打ちが減る
  • 社内の共通言語ができる:「うちの顧客は誰か」が言語化され、部門をまたいだ意思決定が速くなる
  • 商品開発の優先順位が決まる:ターゲットが重視する価値が明確になり、機能追加の取捨選択がしやすくなる

特に見落とされがちなのが3つ目です。STP分析の成果物は「資料」ではなく「社内の共通認識」であり、営業・マーケ・開発が同じ顧客像を語れる状態こそが最大の価値になります。

【早見表】STP分析の3要素・関連フレームワーク比較表

まずは全体像を1枚で把握しましょう。STP分析の各要素と、前後で使うフレームワークの役割を整理した早見表です。

要素/手法 英語表記 答えるべき問い 主な検討軸・手法 アウトプット
セグメンテーション Segmentation 市場をどう分けるか 地理的/人口統計的/心理的/行動的の4変数 細分化した市場マップ
ターゲティング Targeting どのセグメントを狙うか 6R(Realistic/Rank/Rate of growth/Rival/Reach/Response)、無差別型・差別型・集中型 狙う市場と優先順位
ポジショニング Positioning その市場でどう差別化するか ポジショニングマップ、ポジショニングステートメント 独自の立ち位置と訴求メッセージ
3C分析 Customer/Competitor/Company いまの環境はどうなっているか 市場・競合・自社の3視点 現状把握と成功要因(KSF)
PEST分析 Political/Economic/Social/Technological 外部環境はどう変化するか 政治・経済・社会・技術 中長期の機会と脅威
4P分析 Product/Price/Place/Promotion 具体策にどう落とすか 製品・価格・流通・販促 実行可能なマーケ施策

次に、セグメンテーションで使う4つの変数を具体例つきで整理します。実務ではこの表を見ながら、自社が使える切り口を洗い出すところから始めるのが効率的です。

変数の種類 具体的な切り口 BtoCでの例 BtoBでの例
地理的変数(ジオグラフィック) 国・地域、都市規模、気候、人口密度、文化・商習慣 寒冷地向けの高保温アウター 首都圏の本社機能を持つ企業に限定した対面提案
人口統計的変数(デモグラフィック) 年齢、性別、家族構成、年収、職業、学歴 子育て世帯向けの大容量食品 従業員100〜300名、年商10〜50億円の成長企業
心理的変数(サイコグラフィック) 価値観、ライフスタイル、性格、こだわり、リスク許容度 環境配慮を重視する消費者向けブランド 「攻めのDX」を志向する経営層 vs 慎重な現場主導型
行動変数(ビヘイビアル) 購買頻度、利用シーン、購買動機、ロイヤルティ、検討期間 週2回以上利用するヘビーユーザー向け定期便 他社ツールからの乗り換え検討層、初導入層

BtoBの場合は、上記に加えて「業種」「部門」「導入目的」「意思決定プロセス」といったファーモグラフィック変数を加えると、より打ち手に直結するセグメントが作れます。

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STP分析の精度を高めるヒアリング質問項目一覧表

STP分析が机上の空論になる最大の原因は、顧客に直接聞いていないことです。ここでは、S・T・Pそれぞれの工程で顧客・見込み客に投げるべき質問項目をまとめました。アンケートや商談ヒアリングにそのまま転用できます。

工程 質問項目 この質問でわかること 設問形式の例
S
セグメンテーション
現在、どのような場面でこの商品・サービスを使っていますか? 利用シーン(行動変数) 複数選択+自由記述
購入・導入を決めたきっかけは何でしたか? 購買動機・トリガー 単一選択+自由記述
商品を選ぶとき、最も大切にしている価値観に近いものはどれですか? 価値観(心理的変数) 5段階リッカート尺度
ご所属の業種・従業員規模・お役職を教えてください 属性(デモ/ファーモグラフィック) プルダウン選択
T
ターゲティング
この課題は、社内でどれくらい優先度が高いですか? Rank(優先順位) 5段階評価
解決のために年間どの程度の予算を確保できますか? Realistic(市場規模・支払意思) 金額レンジ選択
現在、他社サービスを利用していますか?(サービス名も) Rival(競合状況) 単一選択+自由記述
普段、この分野の情報をどこで収集していますか? Reach(到達可能なチャネル) 複数選択
P
ポジショニング
選定時に重視する項目を、重要な順に3つ選んでください 評価軸の重み付け 順位付け設問
当社と他社を比べたとき、決め手になった違いは何ですか? 実際に効いている差別化要素 自由記述
当社を一言で紹介するとしたら、何と説明しますか? 顧客側の認知(想起されるポジション) 自由記述
導入前に不安だった点、迷った点は何ですか? 訴求すべき障壁(オブジェクション) 自由記述

セグメンテーション用の質問設計のポイント

セグメンテーションの質問では、「属性」よりも「行動」と「価値観」を優先して聞くのがコツです。属性はCRMや名刺情報からも取得できますが、利用シーンや購買動機は本人に聞かないと絶対にわかりません。

自由記述を1〜2問混ぜておくと、想定していなかった利用シーンが見つかることがあります。この「想定外の使われ方」こそが、新しいセグメント軸のタネになります。回答負荷を抑えるため、自由記述は全体の2割以内に留めましょう。

ターゲティング用の質問設計のポイント

ターゲティングの質問は、後述する6Rの各指標に対応させて設計すると評価がスムーズです。予算感(Realistic)、優先度(Rank)、競合利用状況(Rival)、情報収集チャネル(Reach)の4つは最低限押さえたいところです。

特に予算に関する設問は敬遠されがちですが、金額レンジの選択式にすれば回答率はほとんど下がりません。「わからない・未定」の選択肢を必ず用意しておくのが実務上のポイントです。

ポジショニング用の質問設計のポイント

ポジショニングでは、「自社をどう見せたいか」ではなく「顧客からどう見えているか」を測ることが目的です。そのため、順位付け設問と自由記述を組み合わせ、顧客自身の言葉を回収します。

特に価値があるのが「当社を一言で紹介するとしたら?」という設問です。ここで返ってきた表現が自社の想定とズレている場合、ポジショニングは失敗しているか、伝達に問題があると判断できます。回収した言葉は、そのままLPのキャッチコピー候補としても使えます。

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STP分析のやり方・進め方5ステップ

ここからは、実際にSTP分析を進める手順を5つのステップに分けて解説します。所要時間の目安は、既存データがある状態で2〜4週間(追加調査を行う場合は6週間程度)です。

STEP1|目的とゴールを定義する

最初に決めるべきは「何のためにSTP分析をするのか」です。新規事業の立ち上げなのか、既存商品のテコ入れなのか、広告のCPA改善なのかで、切るべきセグメントの粒度がまったく変わります

目的が曖昧なまま始めると、分析範囲が無限に広がり「調べたけれど結局何も決まらない」状態に陥ります。「◯月までに、△△事業の主要ターゲットを1つに絞り、訴求メッセージを確定する」といった形で、期限と意思決定内容をセットで定義しましょう。

あわせて、この段階で3C分析やPEST分析を実施し、市場規模・競合状況・外部環境の変化を押さえておくと、後続のステップの精度が大きく上がります。

STEP2|セグメンテーション:市場を4つの変数で切り分ける

次に、市場を意味のあるかたまりに分割します。前掲の4変数(地理的・人口統計的・心理的・行動的)を使い、まずは切り口を10個以上出してから、有効そうな2〜3軸に絞るのがおすすめです。

ここでの判断基準は「その軸で分けると、打ち手が変わるかどうか」です。分けても同じ訴求・同じ商品になるなら、その軸は分析上意味を持ちません。

地理的変数で切る

地域・都市規模・気候・商習慣で分ける方法です。実店舗ビジネスや物流コストが効く商材、地域ごとに規制や商習慣が異なるBtoBで有効です。「配送可能圏内かどうか」が収益性を直接左右する場合は、最優先で検討すべき軸になります。

人口統計的変数で切る

年齢・性別・年収・家族構成・職業などで分けます。データが取得しやすく社内合意も得やすい一方、この軸だけに頼ると「30代女性向け」のような解像度の低いターゲット設定に陥りやすいのが弱点です。他の変数と必ず掛け合わせましょう。

心理的変数で切る

価値観・ライフスタイル・こだわり・リスク許容度で分けます。差別化に直結しやすい強力な軸ですが、アンケートやインタビューによる一次データがないと設定できません。逆に言えば、ここを押さえられる企業は競合と違う切り口を持てます。

行動変数で切る

購買頻度・利用シーン・購買動機・ロイヤルティ・検討期間で分けます。実際の行動データに基づくため再現性が高く、施策への落とし込みが最も速い軸です。既存顧客データがある企業は、まずこの軸から着手すると成果が出やすくなります。

STEP3|ターゲティング:6Rで狙う市場を絞り込む

切り出したセグメントの中から、狙うべき市場を選びます。ここで使うのが6Rという評価フレームワークです。各セグメントを6項目で5点満点評価し、点数の高い順に優先順位をつけます。

指標 意味 評価の観点
Realistic 有効な市場規模 事業として成立する売上規模があるか
Rank 優先順位・重要性 顧客にとって優先度の高い課題か
Rate of growth 成長率 今後拡大が見込める市場か
Rival 競合状況 競合の数と強さ、参入余地はあるか
Reach 到達可能性 その層に情報を届けるチャネルがあるか
Response 測定可能性 施策の効果を数値で計測できるか

Realistic(有効な市場規模)

その市場で自社が獲得できる売上が、事業目標に見合うかを判断します。市場は大きいほど良いとは限らず、大きすぎる市場は競合も多く、リソースの限られた企業にとっては不利になります。ニッチでも収益性が高く安定するなら十分に有効です。

Rank(優先順位・重要性)

その顧客層にとって、自社が解決する課題がどれだけ切実かを評価します。「あったら便利」レベルの課題は、予算がつかず商談が長期化します。「今期中に解決しないと困る」と言われる課題を持つセグメントほど、Rankは高くなります。

Rate of growth(成長率)

現在の規模だけでなく、3〜5年後の伸びを見ます。いま小さくても年20〜30%成長している市場は、先行者利益を取れる可能性が高い領域です。逆に縮小市場は、シェアを取っても売上が減り続けるリスクを織り込む必要があります。

Rival(競合状況)

競合の数・シェア・強みを確認します。競合が少ないほど有利ですが、「競合がいない=ニーズがない」という可能性も疑うべきです。競合が多くても、明確に空いているポジションがあれば参入の余地はあります。

Reach(到達可能性)

その層に自社のメッセージを届けられるかを見ます。広告媒体、業界メディア、展示会、紹介など、具体的なチャネル名を挙げられないセグメントは、実質的に狙えません。前掲の「情報収集チャネル」の設問が、ここで効いてきます。

Response(測定可能性)

施策の効果を数値で追えるかどうかです。計測できなければ改善もできず、PDCAが回りません。CV数だけでなく、認知・比較検討・商談化率など複数の指標を設計できるセグメントを優先しましょう。

評価が終わったら、無差別型(全市場に同一施策)・差別型(複数セグメントに個別施策)・集中型(1セグメントに全リソース)のいずれで攻めるかを決めます。中小企業や新規事業では、まず集中型から始めるのが定石です。

STEP4|ポジショニング:2軸マップで独自の立ち位置を定義する

狙う市場が決まったら、その市場で「競合とどう違うか」を定義します。使うのはポジショニングマップ——縦横2軸のマトリクスに自社と競合をプロットする手法です。

軸を選ぶときのルールは2つあります。①ターゲットが購買時に重視する要素であること、②2つの軸に相関がないことです。「価格の安さ×コスパの良さ」のように相関の高い軸を選ぶと、全社が右肩上がりの直線上に並び、差が見えません。

マップを描いたら、「競合がいない空白地帯」かつ「ターゲットが価値を感じる領域」を探します。空白でも顧客が求めていない領域なら、それは単に誰もやらない理由がある場所です。

最後に、決めた立ち位置を1文にまとめます。フォーマットは次の通りです。

  • 【ターゲット】にとって、【自社ブランド】は、【競合カテゴリ】の中で【独自の便益】を提供する存在である。なぜなら【根拠】だからだ。

このポジショニングステートメントが書けない場合、差別化要素が言語化できていないサインです。根拠(Reason to Believe)まで含めて書ききることが重要です。

STEP5|4Pに落とし込み、実行・検証する

STP分析は、施策に変換して初めて価値が出ます。決めたポジショニングをProduct(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販促)の4Pに落とし込みましょう。

  • Product:ターゲットが重視する価値に合わせた機能・品質・パッケージ
  • Price:ポジションと整合する価格帯(安さで戦わないなら値引きしない)
  • Place:Reachで特定したチャネルに合わせた販売・提供経路
  • Promotion:ポジショニングステートメントを起点にしたメッセージ設計

実行後は、認知率・比較検討時の第一想起・CVR・LTVなどの指標でポジショニングが伝わっているかを検証します。想定と違う結果が出たら、STEP2のセグメンテーションまで戻って軸を引き直すのが正しい対応です。

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STP分析を成功に導く7つのコツ

同じ手順を踏んでも、成果が出る企業と出ない企業に分かれます。差を生むのは以下の7つのポイントです。

コツ1|3C分析・PEST分析で外部環境を押さえてから着手する

STP分析はあくまで「市場をどう攻めるか」を決めるフレームワークであり、市場そのものの状況を把握する機能は持っていません。前提となる市場規模・成長率・競合シェア・規制動向が抜けたままSTPを回すと、存在しない市場を狙ってしまうリスクがあります。

着手前に3C分析で市場・競合・自社を整理し、PEST分析で中長期の外部変化を確認しましょう。この前工程に1〜2週間かけるだけで、後続の意思決定の質が大きく変わります

コツ2|セグメントの粒度は「打ち手が変わる単位」で切る

セグメンテーションで最も多い失敗が、粒度の設定ミスです。粗すぎると差別化できず、細かすぎると市場規模が足りなくなります。

判断基準はシンプルで、「そのセグメントごとに、伝えるメッセージや提供する機能が変わるか」です。変わらないなら統合し、変わるなら分ける。この基準を持つだけで、議論が空転しなくなります。

目安として、最終的に扱うセグメント数は3〜6個程度に収めると実務上マネジメントしやすくなります。

コツ3|ターゲティングは6Rで定量評価して合意形成する

ターゲット選定は、社内で意見が割れやすい工程です。「自分の担当領域を守りたい」という力学が働くため、感覚論では結論が出ません。

6Rの各項目を5点満点で採点し、スコアを一覧化することで、議論を「好み」から「基準」に移せます。点数の根拠となるデータを併記すれば、経営層への説明資料としてもそのまま使えます。

コツ4|ポジショニングマップの2軸は相関の低い組み合わせを選ぶ

「品質×価格」「高級感×価格」のように相関の強い2軸を選ぶと、全プレイヤーが対角線上に並び、空白地帯が生まれません。これは分析としてほぼ無意味です。

「価格×サポートの手厚さ」「専門特化度×導入スピード」など、独立した2軸を組み合わせることで、はじめて意味のある空白が見えてきます。軸の候補は5〜6個出し、複数パターンのマップを描いて比較するのがおすすめです。

コツ5|一次データ(顧客の生の声)を必ず入れる

公開統計や業界レポートだけで組み立てたSTPは、競合も同じ材料を見ているため、似た結論に着地します。差別化のタネは、自社しか持っていない一次データの中にしかありません

既存顧客へのアンケート、失注顧客へのヒアリング、Webサイト上の診断コンテンツなど、方法は複数あります。最低でも定量アンケート100件+定性インタビュー5〜10件を目安に確保すると、仮説の確度が大きく上がります。

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コツ6|分析で終わらせず、社内の意思決定基準にする

STP分析の成果物がスライドの中で眠っているケースは非常に多く見られます。「この施策は、決めたターゲットに向いているか?」を判断する基準として日常的に使われて初めて、分析は投資回収されます

具体的には、広告のクリエイティブレビュー、営業のターゲットリスト作成、開発の要件優先順位づけの場で、ポジショニングステートメントを毎回参照する運用を組み込みましょう。

コツ7|半期に一度は見直してPDCAを回す

市場も競合も顧客も変化します。一度決めたSTPを固定すると、数年で実態とズレていきます。特に競合の新規参入やポジション変更があった場合は、マップの塗り替えが必要です。

推奨頻度は半期に一度の軽い見直し+年1回の本格的な再分析です。見直しのトリガー(競合の大型リリース、CVRの2割以上の変動など)をあらかじめ決めておくと運用が定着します。

STP分析でありがちな5つの失敗例と回避策

実務でよく見かける失敗パターンと、その回避策を整理します。

失敗例1|セグメントを切ったが、どれも同じ施策になってしまう

切り口が購買行動と無関係なため、分けても打ち手が変わらないパターンです。属性データだけで切ったときに起こりやすい典型例といえます。回避策は、行動変数・心理的変数を最低1つは軸に含めることです。

失敗例2|ターゲットを絞りきれず「幅広い層」に着地する

売上を取りこぼす不安から、結局すべてのセグメントを狙ってしまうパターンです。「絞る=売らない」ではなく「絞る=最初に狙う順番を決める」と捉え直しましょう。優先順位1位に集中し、成果が出てから2位に広げる段階戦略が有効です。

失敗例3|ポジショニングが競合と丸かぶりしている

「高品質・低価格・充実サポート」のように、業界全員が言っている訴求を掲げてしまうパターンです。その表現を競合のロゴに差し替えても成立するなら、差別化はできていません。顧客が実際に語った言葉を使って、より具体的な便益に書き換えます。

失敗例4|分析はしたが、実行できないターゲットだった

魅力的な市場を選んだものの、到達チャネルがない、営業体制が足りない、といった理由で実行に移せないパターンです。6RのReachと、自社リソースの現実性を必ずセットで確認してください。

失敗例5|古いデータのまま運用し、市場変化に気づかない

数年前の調査結果をそのまま使い続け、顧客の課題感がすでに変わっているケースです。特にツール・SaaS領域は1〜2年で競争環境が入れ替わります。定点観測用の簡易アンケートを四半期ごとに回す仕組みを作っておくと安全です。

STP分析の活用シーンと分析結果の活かし方

STP分析は新規事業だけのものではありません。ここでは代表的な5つの活用シーンと、BtoB/BtoCでの使い分けを解説します。

新規事業・新商品開発での活用

参入市場の選定と、初期プロダクトの機能優先順位づけに使います。リソースが最も限られるフェーズだからこそ、集中型のターゲティングが効きます。ターゲットが重視する上位3つの価値だけを満たすMVPを作り、そこから広げるのが定石です。

広告運用・LP改善での活用

ポジショニングステートメントを起点に、広告の訴求軸とLPのファーストビューを設計します。セグメントごとにLPを出し分けることで、CVRが1.5〜2倍に改善するケースも珍しくありません。配信面もReachで特定したチャネルに寄せます。

ブランディング・リブランディングでの活用

顧客が自社をどう認識しているかを調査し、想定ポジションとのギャップを埋めます。ブランドは「自社が主張するもの」ではなく「顧客の頭の中にある認識」であるため、認知調査とセットで実施することが必須です。

BtoB営業のターゲットリスト設計での活用

業種・規模・導入目的でセグメントを切り、6Rで優先度をつけたうえでアプローチリストを作成します。受注率の高いセグメントに営業工数を寄せるだけで、同じ人員でも成約数が伸びます。既存顧客の受注データを分析して勝ちパターンを特定するのが第一歩です。

採用マーケティングでの活用

STP分析は求職者を対象にしても機能します。「どんな志向性の人材に、自社のどの魅力を訴求するか」を定義すると、求人票と面談トークの一貫性が生まれ、ミスマッチによる早期離職を減らせます。

BtoBとBtoCでの使い分け

BtoCは心理的変数・行動変数の比重が高く、大量サンプルの定量調査が中心になります。一方BtoBは、業種・規模・意思決定プロセスといったファーモグラフィック変数が主軸で、サンプル数は少なくても深いインタビューで補うアプローチが有効です。

また、BtoBでは「導入決裁者」と「現場利用者」でニーズが異なるため、同一企業内で2つのペルソナを設定し、それぞれにポジショニングメッセージを用意する必要があります。

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STP分析の成功事例10選【BtoC・BtoB】

実際の企業がどのようにS・T・Pを設計しているかを見ていきましょう。各事例をS/T/Pの3要素に分解して整理しているので、自社に置き換えて読み進めてください。

事例1|ユニクロ|「服のインフラ」というポジションで年齢・性別を超える

S(セグメンテーション):従来のアパレルが使っていた「年齢・性別」ではなく、「ファッション志向(トレンド重視/ベーシック重視)」という心理的変数で市場を切り直しました。

T(ターゲティング):ベーシック志向で、品質と価格のバランスを重視する幅広い層。年齢・性別を問わない設計にすることで、市場規模を最大化しています。

P(ポジショニング):「高品質・低価格のベーシックウェア」。ヒートテックやエアリズムといった機能性素材を自社開発することで、低価格帯でありながら「安かろう悪かろう」ではない根拠を提示している点が秀逸です。SPA(製造小売)モデルによる原価コントロールが、このポジションを支える裏付けになっています。

事例2|スターバックスコーヒー|「サードプレイス」で価格競争から離脱

S:「コーヒーの味」ではなく「滞在体験・空間の質」という軸で市場を細分化しました。

T:都市部で働くビジネスパーソンや学生など、自宅でも職場でもない「第三の居場所」を求める層に集中しています。

P:「くつろげる空間を提供するサードプレイス」。コーヒーを商品ではなく空間利用の対価と位置づけたことで、1杯あたり数百円という価格が正当化されました。全席禁煙、Wi-Fi・電源完備、店舗ごとに異なる内装といった施策すべてが、このポジショニングと整合しています。

事例3|ニトリ|「お、ねだん以上。」で価格と品質の両立を宣言

S:ライフステージ(新生活・引越し・買い替え)と、価格感度の高さで市場を切り分けています。

T:一人暮らしを始める学生・社会人、子育て世帯など、限られた予算の中でトータルコーディネートを揃えたい層が中心です。

P:「お、ねだん以上。」というキャッチコピーがポジショニングステートメントそのものになっています。製造から物流・小売までを自社で統合するSPAモデルにより、低価格と品質の両立という根拠を確保。配送・組立サービスも含めた総合的な購買体験で差別化しています。

事例4|東京ディズニーリゾート|「夢と魔法の王国」で代替不可能な存在に

S:「レジャー施設」という枠を超え、「非日常体験の質」という軸で市場を再定義しました。

T:ファミリー層に加え、カップル・友人グループ・大人のリピーターまで幅広く設定。年齢層ではなく「世界観に価値を感じるか」で切っているのが特徴です。

P:「夢と魔法の王国」。キャストの教育、園内から外の景色が見えない設計、季節イベントの徹底など、世界観を壊さないためのオペレーション全体がポジショニングの根拠になっています。結果として価格改定を重ねても来園者を維持できる、代替不可能なポジションを築きました。

事例5|マクドナルド|利用シーンで切り直し、非接触ニーズを取り込む

S:「誰が食べるか」ではなく「どう食べるか(店内・持ち帰り・ドライブスルー・デリバリー)」という行動変数で市場を細分化しました。

T:外出を控えたい層、車移動が中心の層、時間をかけずに食事を済ませたい層など、利用シーン別に複数のセグメントを同時に狙う差別型マーケティングを採用しています。

P:「早く・安く・どこでも受け取れるファストフード」。モバイルオーダー、ドライブスルーの多レーン化、デリバリー対応を強化することで、非接触ニーズが高まった時期に他社との差を広げました。既存資産(店舗網)を活かした転換が成功要因です。

事例6|ワークマン|作業服の技術を一般客市場に転用

S:従来の顧客だった建設・作業従事者に加え、「高機能ウェアを低価格で求めるアウトドア・スポーツ層」というセグメントを新たに発見しました。

T:キャンプ・釣り・バイクなど、本格的な機能を求めつつ、専門ブランドの価格には手が出ない層に集中しています。

P:「専門ブランド並みの機能を、圧倒的な低価格で」。作業服で培った防水・防寒・耐久の技術という明確な根拠があるため、価格の安さが品質への疑念につながらない点が強力です。「ワークマンプラス」という別業態を立てることで、既存顧客とのカニバリも回避しています。

事例7|ペヤング ソースやきそば|「話題性」という独自軸で存在感を確保

S:カップ焼きそば市場を「味の完成度」ではなく「話題性・体験の面白さ」という軸で切り直しました。

T:SNSで面白い商品を共有したい若年層、変わり種を試したいライトユーザーが中心です。

P:「唯一無二のインパクトを持つカップ焼きそば」。超大盛シリーズや振り切った変わり種フレーバーは、売上そのものより「語られること」を狙った施策です。大手と同じ土俵で味と価格を競わず、話題という別軸で戦うポジショニングの好例といえます。

事例8|パナソニック|BtoC・BtoB・BtoGの3軸で市場を分ける

S:顧客の種類(一般消費者・法人・自治体/官公庁)という軸で事業ポートフォリオ全体を細分化しています。

T:家電では快適な暮らしを求める生活者、法人向けでは省エネ・生産性改善を求める企業、公共向けではインフラ整備を担う自治体、とセグメントごとに別のニーズを設定しています。

P:全体としては「より良い暮らしを支える技術」という統一ポジションを掲げつつ、セグメントごとに訴求メッセージと販売チャネルを完全に分ける差別型マーケティングを展開。大企業がセグメント別に複数のポジションを管理する典型例です。

事例9|QBハウス|「時間」という新しい評価軸を持ち込む

S:理美容市場を「仕上がりの質」ではなく「所要時間と手軽さ」という軸で切り直しました。

T:シャンプーやブローは不要で、短時間で身だしなみを整えたいビジネスパーソンに集中しています。

P:「10分・低価格のヘアカット専門店」。シャンプー台をなくし、予約を廃止し、駅構内に出店するというオペレーション設計すべてが「時間」というポジションから逆算されています。既存の理美容室と価格でも技術でも競合しない、完全に別のカテゴリを作った事例です。

事例10|SmartHR(BtoB SaaS)|「人事労務の非効率」に特化して市場を創出

S:バックオフィス向けSaaS市場を「業務領域(会計・人事労務・法務)」×「企業規模」で細分化しました。

T紙とExcelで社会保険手続きを行っている中堅・成長企業の人事労務担当者に集中。総合型ERPが取りこぼしていた領域を狙っています。

P:「人事労務手続きをクラウドで完結させる専門ツール」。総合型ではなく専門特化型というポジションを取ることで、「導入が簡単」「現場が使える」という便益を明確に打ち出しました。BtoBにおける「専門特化度×導入スピード」という2軸ポジショニングの代表例です。

10事例から見える共通点

10社に共通しているのは、①既存の業界常識と違う軸で市場を切り直している、②ポジションを裏づける実体(技術・オペレーション・コスト構造)がある、③4Pのすべてがポジションと整合しているという3点です。

逆に言えば、キャッチコピーだけを変えてもポジショニングは成立しません。「なぜそれが可能なのか」を説明できる仕組みまで含めて設計することが、成功事例に共通する条件です。

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STP分析の精度を左右する「一次データ収集」とヒアリングDX

ここまで見てきた通り、STP分析の質は「どれだけ顧客の生の情報を持っているか」でほぼ決まります。最後に、その一次データを効率的に集める方法を整理します。

なぜ二次データだけでは差別化できないのか

官公庁の統計、業界レポート、競合サイトの情報——これらはすべて競合も同じようにアクセスできる二次データです。同じ材料から出発すれば、似たセグメント定義と似たポジショニングに着地するのは当然といえます。

差がつくのは、自社の顧客・見込み客が語った言葉、失注理由、乗り換え動機といった一次データです。これらは自社しか持ち得ず、そのままセグメント軸やコピーの素材になります。

一次データを集める3つの実践的な方法

とはいえ「調査会社に依頼すると数十万円かかる」「回答が集まらない」といった壁もあります。現実的な手段は次の3つです。

方法1|既存顧客・失注顧客へのアンケート

最も低コストで始められる方法です。受注顧客には「決め手」を、失注顧客には「選ばなかった理由」を聞くと、ポジショニングの現状評価がそのまま得られます。失注ヒアリングは敬遠されがちですが、差別化のヒントが最も濃く含まれています。

方法2|Webサイト上の診断コンテンツ

「あなたに合うプランがわかる診断」のようなコンテンツを設置すると、訪問者は自発的に自社の課題・状況・優先事項を入力してくれます。リード獲得とセグメンテーション用データ収集を同時に行える点が大きな利点です。回答途中の離脱ポイントからも、関心の所在が読み取れます。

方法3|商談・サポート現場のヒアリング標準化

営業やカスタマーサポートは、日々顧客の声に触れています。しかしヒアリング項目が標準化されていないと、その情報は担当者の頭の中に留まり、分析できるデータになりません。ヒアリングシートを整備し、回答をデータベースに蓄積する仕組みを作りましょう。

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STP分析のデータ収集には「Interviewz(インタビューズ)」がおすすめ!

一次データ収集の仕組みづくりに課題がある場合、ヒアリングDXツール「Interviewz(インタビューズ)」の活用が有効です。

Interviewzとは|タップ操作で完結するヒアリング・診断ツール

Interviewzは、チャット形式・タップ操作でユーザーの回答を集められるヒアリングDXツールです。従来のフォーム型アンケートに比べて回答負荷が小さく、離脱を抑えながら深い情報を取得できる点が特徴です。

アンケート、Web接客、診断コンテンツ、営業ヒアリング、採用エントリーなど用途を問わず同じ仕組みで運用でき、集まった回答は分析可能なデータとして自動で蓄積されます。プログラミング不要で、管理画面からノーコードで設問を組み立てられます。

STP分析にInterviewzが向いている5つの理由

理由1|心理的変数・行動変数を直接聞ける

STP分析で差別化のカギになるのは、統計では取得できない価値観・利用シーン・購買動機です。Interviewzは分岐設問を柔軟に組めるため、回答内容に応じて深掘りの質問を出し分けられます。「なぜそう思うのか」まで踏み込める設計が、セグメント軸の発見につながります

理由2|タップ回答で回答率と完了率が上がる

選択肢をタップしていくだけのUIのため、スマートフォンでもストレスなく最後まで回答できます。設問数を確保しつつ完了率を維持できるので、STP分析に必要なサンプル数を集めやすくなります。

理由3|診断コンテンツとして設置すればリード獲得と両立できる

「あなたに最適なプラン診断」のような形でWebサイトに設置すれば、ユーザーにとってはメリットのあるコンテンツ、企業にとってはセグメンテーション用データの収集手段として同時に機能します。調査コストをマーケティング投資に転換できる考え方です。

理由4|デジタルギフト連携で回答インセンティブを自動化できる

回答が集まらないという課題に対しては、デジタルギフトを回答者へ自動配布する機能が用意されています。景品の手配・発送といった運用負荷をかけずに、回答率を引き上げられます。

理由5|蓄積データをそのままターゲティング・4Pに反映できる

回答データはセグメント別に集計・分析でき、6Rの評価やポジショニングマップの軸設定にそのまま使えます。営業・マーケ・開発が同じデータを参照できるため、STP分析の成果物が「社内の共通言語」として機能しやすくなります。

導入前に試せる無料デモ・無料トライアル

実際の操作感は、無料のデモ体験で確認できます。導入前に自社の設問を組んで試せるため、STP分析の設計と並行して検証を進められます。料金プランや導入事例を含む詳細は、サービス概要資料にまとめられています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. STP分析と3C分析・4P分析は何が違いますか?

A. 役割とタイミングが異なります。3C分析は「現状把握」、STP分析は「戦略の方向づけ」、4P分析は「施策の具体化」を担います。

実務では3C/PEST分析 → STP分析 → 4P分析の順に進めるのが一般的です。3Cで市場と競合を把握し、STPで狙う相手と立ち位置を決め、4Pで製品・価格・流通・販促に落とし込む、という流れになります。

Q2. STP分析はS→T→Pの順で必ず進めるべきですか?

A. 基本はS→T→Pの順です。市場の切り方が決まらなければ狙う相手も決まらず、狙う相手が決まらなければ立ち位置も決められないためです。

ただし、すでに強い技術やブランド資産がある場合は、P(ありたい立ち位置)を仮置きしてからS・Tを検証する「PST型」で進めるケースもあります。その場合も、最終的にはS→T→Pの整合性チェックを行ってください。

Q3. STP分析は中小企業や個人事業でも使えますか?

A. むしろリソースが限られている企業ほど効果が大きいフレームワークです。大企業のように全方位に投資できないからこそ、狙う市場を絞る意思決定が成果を左右します。

大がかりな市場調査が難しい場合は、既存顧客10〜20社へのヒアリングから始めるだけでも十分に実用的なセグメント軸が見つかります。「なぜ自社を選んだのか」を聞くことがスタート地点です。

Q4. ポジショニングマップの2軸はどう決めればいいですか?

A. ①ターゲットが購買時に重視する要素であること、②2軸に相関がないこと——この2条件を満たす組み合わせを選びます。

軸の候補は、前掲の「選定時に重視する項目を重要な順に3つ選んでください」という設問の回答から抽出するのが確実です。5〜6個の候補軸から複数パターンのマップを描き、最も空白が明確に見えるものを採用してください。

Q5. STP分析にかかる期間と費用の目安を教えてください。

A. 既存データが揃っている場合は2〜4週間、新規に定量アンケートやインタビューを行う場合は6〜8週間が目安です。

費用は、調査会社にパネル調査を依頼すると数十万円〜かかりますが、自社の顧客リストとヒアリングツールを使えばツール利用料のみで実施可能です。まずは自社データで仮説を作り、必要に応じて外部調査で補完する進め方がコスト効率に優れます。

Q6. STP分析はどのくらいの頻度で見直すべきですか?

A. 半期に一度の軽い見直しと、年1回の本格的な再分析を推奨します。

加えて、競合の大型リリース、法規制の変更、CVRの2割以上の変動といった見直しトリガーをあらかじめ定義しておくと、変化に気づかず古い戦略を回し続けるリスクを避けられます。

Q7. BtoBでSTP分析を行うとき、特に注意すべき点はありますか?

A. 「決裁者」と「現場利用者」でニーズが異なる点に注意が必要です。同じ企業内でも、決裁者はROIやリスクを、現場は操作性や工数削減を重視します。

そのため、BtoBでは1つのターゲット企業セグメントに対して2つのペルソナを設定し、それぞれにポジショニングメッセージを用意するのが実務的な解決策です。営業資料も、決裁者向けと現場向けで分けると商談が進みやすくなります。

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まとめ|STP分析は「絞って、届けて、検証する」ためのフレームワーク

STP分析は、市場を切り分け(S)、狙う相手を決め(T)、その相手にとって唯一の存在になる(P)ための意思決定フレームワークです。分析すること自体がゴールではなく、「どの市場を狙わないか」を決め、施策に落とし込むまでが一連の流れになります。

本記事の要点を振り返ります。

  • STP分析はS→T→Pの順に進める。Pが決まらないときはSの切り方に戻る
  • セグメンテーションは4変数(地理的・人口統計的・心理的・行動的)で切り、「打ち手が変わる単位」を基準に粒度を調整する
  • ターゲティングは6R(Realistic/Rank/Rate of growth/Rival/Reach/Response)で定量評価し、社内合意を取る
  • ポジショニングマップの2軸は相関の低い組み合わせを選び、ステートメントを根拠つきで1文にまとめる
  • 差別化のタネは一次データにしかない。二次データだけでは競合と同じ結論に着地する
  • 成功事例10社に共通するのは「業界常識と違う軸で切る」「ポジションを支える実体がある」「4Pが整合している」の3点
  • 半期に一度は見直し、市場変化に合わせてPDCAを回す

次のアクションとして、まずは既存顧客10社に「なぜ当社を選んだのか」を聞くことから始めてみてください。そこで出てきた言葉が、セグメント軸とポジショニングメッセージの原材料になります。

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