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ハラスメントのヒアリング8手順|公正な調査の質問例とツール10選

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「ハラスメントの相談を受けたが、誰から何を聞けばよいかわからない」「ヒアリングの進め方を誤って、トラブルを大きくしたくない」「相談窓口や社内調査の仕組みを整えたい」——そんな悩みを抱える人事・労務担当者、ハラスメント相談窓口の担当者、管理職に向けた記事です。

本記事では、ハラスメントのヒアリングの目的と法的義務から、対象者別の質問項目一覧、ヒアリングの8つの手順、公正に進めるための注意点、相談対応に使えるツール10選の比較表までを網羅的に解説します。読み終えるころには、二次被害を防ぎながら事実を正確に確認する方法と、自社に合う相談・ヒアリングの仕組みが見えているはずです。

この記事の監修・運営情報 

  • 運営企業:ラーナーズ株式会社 Interviewz(インタビューズ)/ヒアリングDXブログ編集部
  • 監修:Interviewz プロダクトチーム(ヒアリング・診断コンテンツ設計の支援実績をもとに監修)
  • 専門領域:BtoB/BtoCのヒアリング設計、アンケートUX、診断コンテンツによるCVR改善

※本記事は、厚生労働省の公表資料や各社公式サイト・比較サイトの情報(2026年10月時点)をもとに編集部が整理したものです。個別の事案の判断や懲戒処分の検討にあたっては、弁護士・社会保険労務士などの専門家へご相談ください。

ハラスメントのヒアリングとは?目的と企業の義務

ハラスメントのヒアリングとは、相談や通報があった際に、相談者・関係者・行為者とされる人から話を聞き、事実関係を確認する調査のことです。会社としてハラスメントの有無を判断し、適切な措置を取るための出発点になります。

ヒアリングの進め方を誤ると、相談者が二次被害を受けたり、行為者とされる人から不当な調査だと反発されたりするおそれがあります。まずは目的と、企業に求められている義務を確認しましょう。

ハラスメントのヒアリングを行う目的

ヒアリングの第一の目的は、何が起きたのかを客観的に把握することです。相談者の申告だけで判断せず、関係者や行為者とされる人の言い分も聞き、証拠と照らし合わせて事実を確定させます。

第二の目的は、被害の拡大を防ぎ、働きやすい職場環境を取り戻すことです。厚生労働省の資料でも、相談があったら迅速に事実確認を始め、就業環境の改善を優先することが示されています。処分を決めることだけがゴールではありません。

ヒアリングの対象者は3者

ハラスメントのヒアリングでは、相談者(被害を訴える人)、関係者(上司・同僚・目撃者など)、行為者とされる人の3者から話を聞くのが基本です。それぞれ確認すべき内容と配慮すべき点が異なります。

聞き取りの順番は、相談者→関係者→行為者とされる人が原則です。ただし、証拠が十分にそろっている場合や、関係者から情報が漏れるおそれがある場合は、事案に応じて順番を調整します。

企業に求められるハラスメント防止措置の義務

パワーハラスメントの防止措置は、労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)により、大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から義務化されています。セクシュアルハラスメントや妊娠・出産等に関するハラスメントも、男女雇用機会均等法などで防止措置が義務づけられています。

さらに2025年6月に公布された改正法により、2026年10月1日からカスタマーハラスメント対策と、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策も事業主の義務となりました。いずれの措置にも「相談体制の整備」と「事後の迅速かつ適切な対応」が含まれており、ヒアリングの体制づくりは企業の必須対応といえます。

データで見るハラスメントの実態

厚生労働省の「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年間にパワハラを受けたことがある労働者は19.3%でした。セクハラは6.3%、顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ)は10.8%です。

企業側では、過去3年間にパワハラの相談があった企業が64.2%にのぼります。カスハラについては相談件数が「増加している」と答えた企業が23.2%と、「減少している」の11.4%を上回りました。多くの企業にとって、ヒアリングはいつでも起こりうる実務です。

ヒアリング前に押さえたいハラスメントの種類と判断基準

ヒアリングで聞くべき内容は、どの種類のハラスメントが問題になっているかによって変わります。法律上の定義を押さえておくと、質問の焦点がぶれず、判断の根拠も明確になります。

種類 主な定義・要件 ヒアリングで確認したいポイント
パワーハラスメント ①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③就業環境が害されるもの、の3要素をすべて満たす 関係性、言動の内容と頻度、業務上の必要性があったか
セクシュアルハラスメント 職場における性的な言動により、不利益を受ける(対価型)、または就業環境が害される(環境型) 言動の具体的な内容、拒否の有無とその後の扱い
妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント 妊娠・出産や制度の利用に関する言動により就業環境が害される 制度利用の状況、言動のタイミングと内容
カスタマーハラスメント ①顧客等の言動、②社会通念上許容される範囲を超える、③就業環境が害される、の3つをすべて満たす(2026年10月から対策義務化) 要求内容と手段、頻度・時間、電話やSNSでの言動

パワハラの3要素と6つの類型

パワハラは、上の3要素をすべて満たす場合に該当します。業務上必要で相当な範囲で行われる適正な指導は、パワハラには当たりません。そのため、ヒアリングでは「指導の目的は何だったか」「方法は適切だったか」を必ず確認します。

厚生労働省の指針では、代表的な言動として身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害の6類型が示されています。相談内容がどの類型に近いかを整理しておくと、質問を組み立てやすくなります。

「ハラスメントかどうか」をその場で断定しない

ヒアリングの段階で担当者が「それはハラスメントです」「それくらいは指導の範囲です」と断定するのは避けるべきです。判断は、3者の聞き取りと証拠の確認を終えてから、組織として行います。

厚生労働省の資料でも、ハラスメントに当たるか微妙なケースや、発生のおそれがある段階の相談も広く受け付けて対応することが求められています。グレーな相談ほど、早い段階で丁寧に話を聞くことが重要です。

ハラスメントのヒアリング・相談対応に使えるツール10選比較表

ハラスメントのヒアリングそのものは、プライバシーが守られた場所での対面面談が基本です。一方で、相談の受付、事前の状況整理、職場の定期的な実態把握、記録の作成などはツールを使うと効率化できます。ここでは目的別に使える10ツールを比較します。

ツール名 タイプ 主な用途 匿名対応 料金目安 特徴
Interviewz(インタビューズ) ヒアリング・サーベイ作成型 相談受付フォーム、職場の定期ヒアリング、匿名アンケート 可 月30,000円〜(税抜)/14日間無料トライアル 分岐型で状況に応じた質問、回答を自動集計
Googleフォーム 汎用フォーム型 簡易な相談受付、社内アンケート 設定により可 無料 手軽に始められるが、アクセス管理に注意
Microsoft Forms 汎用フォーム型 社内アンケート、相談受付 設定により可 Microsoft 365の対象プランに含まれる Microsoft 365環境で管理しやすい
Wevox エンゲージメントサーベイ型 職場状態の定点観測 個人が特定されない形で集計 月額300円/名〜(掲載情報) チーム単位の変化を早期に把握
ハタラクカルテ 離職防止サーベイ型 コンディション把握、離職リスクの検知 要確認 167円/名〜(掲載情報) 離職アラートや要因別スコアを表示
Zation 外部相談窓口型 弁護士・社労士による相談受付と調査 可 初期50,000円〜+人数別料金(掲載情報) 電話・メール・Webで受付、年4回の実績レポート
NEC VALWAY ハラスメント相談窓口 外部相談窓口型 カウンセラーによる傾聴と報告書作成 可 年額192,000円〜(掲載情報) 弁護士・精神科医が専門家として関与
CHeck(アスマーク) 外部相談窓口型 相談受付、実態調査、規程づくり、研修 可 月額15,000円〜+初期費用(掲載情報) 心理系有資格者が相談に対応
コンプラチェッカー(アトム法律事務所) 簡易通報ツール型 社内担当者への通報の自動転送 可 年間9,600円(掲載情報) 低コストで通報ルートを用意できる
Notta 記録・文字起こし型 同意を得た面談の録音・文字起こし ― 無料プランあり/有料プランは公式サイトで確認 AIで発言を文字起こしし、記録作成を効率化

比較のポイントは、「社内で受け付けて社内で調査するのか」「外部の専門家に一次対応を任せるのか」です。社内の担当者が少ない企業や、経営層が関わる事案に備えたい企業は外部相談窓口型、職場の兆候を早めにつかみたい企業はヒアリング・サーベイ型が向いています。

▼ヒアリングに使えるツールを詳しく比較したい方はこちら

ハラスメントのヒアリングで確認する質問項目一覧表

ヒアリングでは、対象者ごとに確認すべき項目をあらかじめ整理しておくことが大切です。聞き漏れがあると、再度の聞き取りが必要になり、当事者の負担が増えてしまいます。対象者別の主な質問項目を一覧にまとめました。

対象者 確認項目 質問例
相談者 日時・場所・頻度 その言動があったのは、いつ、どこでしたか?何回くらいありましたか?
相談者 相手との関係 相手の方とは、どのような業務上の関係ですか?
相談者 言動の内容 相手はどのような言葉を使い、どのような態度でしたか?覚えている範囲で教えてください。
相談者 目撃者・証拠 その場にいた人はいますか?メールやチャット、メモなど残っているものはありますか?
相談者 心身・業務への影響 体調や睡眠、仕事の進め方に影響は出ていますか?
相談者 会社に求める対応 今後、会社にどのような対応を望みますか?(言動の停止、謝罪、配置の見直しなど)
関係者 見聞きした事実 〇月〇日の会議で、AさんとBさんの間でどのようなやり取りがありましたか?
関係者 職場の状況 普段のチーム内のコミュニケーションはどのような様子ですか?
関係者 相談者のその後の様子 その出来事の後、相談者の様子に変化はありましたか?
行為者とされる人 事実の有無 〇月〇日に、このような発言をしたという申し出がありますが、事実ですか?
行為者とされる人 言動の理由・目的 その言動には、どのような意図や業務上の理由がありましたか?
行為者とされる人 認識と今後の意向 相手がどう受け止めたと思いますか?今後どのように対応したいと考えますか?

相談者へのヒアリングで意識すること

相談者は、ハラスメントの影響で出来事を順序立てて話せないことも少なくありません。話を急かさず、時系列の整理は聞き手がサポートしながら進めます。

また、相談者が会社に何を望んでいるかを必ず確認します。「話を聞いてほしいだけ」「言動を止めてほしい」「処分を求めたい」など、意向によって次に取るべき対応が変わるためです。

関係者へのヒアリングで意識すること

関係者には、本人が直接見聞きした事実と、うわさや推測を分けて話してもらうことが重要です。「誰かから聞いた話」は、事実認定の根拠としての重みが低くなります。

聞き取りの際は、相談者の名前や相談内容を必要以上に明かさないよう配慮します。関係者への聞き取りは相談者の了解を得てから行うのが原則です。

行為者とされる人へのヒアリングで意識すること

行為者とされる人には、最初に秘密厳守であることと、相談者や協力者への報復は許されないことを伝えます。そのうえで、申し出のあった言動について一つずつ事実を確認します。

この段階ではまだハラスメントと認定されていないため、加害者と決めつける言い方は避け、弁明の機会を十分に与えることが大切です。公正な手続きは、後の処分の正当性を支える土台になります。

▼ヒアリングシートのテンプレートを活用したい方はこちら

ハラスメントのヒアリングの進め方8ステップ

ハラスメントのヒアリングは、計画を立てて順序よく進めることで、公正さとスピードを両立できます。ここでは、相談受付から判断までの8つのステップを解説します。

STEP1:相談を受け付け、初回の話を聞く

相談を受けたら、プライバシーが守られる個室で、できるだけ早く話を聞きます。面談だけでなく、電話やメール、Webフォームなど複数の相談手段を用意しておくと、相談のハードルが下がります。

初回の面談は1回あたり長くても1時間程度を目安にし、話しきれない場合は次の日程を決めます。厚生労働省の資料では、相談者と同性の担当者を含む複数名での対応も推奨されています。

STEP2:調査の体制と計画を立てる

次に、誰がヒアリングを担当し、誰から、どの順番で聞くかを決めます。担当者は、当事者と人間関係が近すぎない人を選ぶことが重要です。人事部門、相談窓口、専門の委員会などが担当するのが一般的です。

経営層や人事部門の幹部が関わる事案など、社内での公正な調査が難しい場合は、外部の弁護士や専門機関への調査依頼も検討しましょう。

STEP3:客観的な資料を確保・確認する

ヒアリングの前に、メール、チャット、業務日報、勤怠記録など客観的な資料を確保します。資料があると、記憶があいまいな点を補い、証言の信用性を判断しやすくなります。

ただし、資料には個人情報やプライバシーに関わる情報が含まれる場合があります。確認する範囲は調査に必要なものに限るよう注意してください。

STEP4:質問事項を整理し、ヒアリングシートを準備する

前章の質問項目一覧表をもとに、対象者ごとの質問事項をヒアリングシートにまとめます。事前に整理しておくことで、聞き漏れや、担当者による質問のばらつきを防げます。

質問は、「はい・いいえ」で答えさせる誘導的な形ではなく、自由に話してもらえる形を基本にします。具体的な日時や発言を確認するときだけ、焦点を絞った質問を使います。

STEP5:相談者に詳しくヒアリングする

相談者から、いつ・どこで・誰から・どのような言動があったかを具体的に聞き取ります。あわせて、目撃者や証拠の有無、心身への影響、会社に求める対応を確認します。

聞き取った内容は、その場で要点を読み上げるなどして認識に相違がないかを相談者に確認します。関係者や行為者とされる人へ聞き取りを進めてよいかの了承も、この段階で得ておきましょう。

STEP6:関係者にヒアリングする

相談者の了解を得たうえで、目撃者や同じ職場の同僚、上司などから話を聞きます。相談者と行為者とされる人の主張が食い違う場合、第三者の証言は事実認定の重要な手がかりになります。

関係者には、聞き取りの事実や内容を他の人に口外しないよう念を押します。情報が広がると、相談者の立場が悪くなったり、証拠隠しが起きたりするおそれがあります。

STEP7:行為者とされる人にヒアリングする

行為者とされる人には、申し出のあった言動を具体的に示し、事実の有無や経緯、理由を確認します。弁明は途中で遮らず、最後まで聞くことが大切です。

電話や短時間の立ち話で済ませるのではなく、面談の場を設けて慎重に確認します。ヒアリングを拒否された場合は、その経緯も記録に残しておきましょう。

STEP8:事実を認定し、対応を決める

3者の聞き取りと資料をもとに、どの事実が認められるか、ハラスメントに該当するかを組織として判断します。判断が難しい場合は、弁護士などの専門家に意見を求めます。

結論が出たら、相談者には会社としての判断と今後の対応を伝えます。ハラスメントと断定できない場合でも、関係改善の支援や指導方法の見直しなど、予防的な対応を取ることが有効です。

▼ヒアリングシートの作り方を基礎から確認したい方はこちら

ハラスメントのヒアリングを公正に進める7つの注意点

ハラスメントのヒアリングは、進め方そのものが後のトラブルの火種になりうる難しい業務です。ここでは、相談者・行為者とされる人の双方の権利を守りながら進めるための7つの注意点を解説します。

注意点1:中立の立場を守り、先入観で判断しない

ヒアリング担当者は、どちらか一方の味方ではなく、事実を確認する立場であることを意識します。「あの人ならやりかねない」「あの人がそんなことをするはずがない」といった先入観は、質問や記録をゆがめてしまいます。

相談者の話に共感を示すことは大切ですが、共感と事実の認定は別です。「お話はよくわかりました。事実関係はこれから確認します」のように、立場を明確にした伝え方を心がけましょう。

注意点2:複数名で対応し、担当者を慎重に選ぶ

ヒアリングは、聞き手と記録係の2名以上で対応するのが基本です。1人で対応すると、言った・言わないのトラブルが起きやすく、聞き漏れも増えます。

担当者には、当事者の直属の上司や親しい同僚を避けます。厚生労働省の資料でも、人間関係が近い人が確認すると、正確な確認が難しくなることが指摘されています。

注意点3:秘密保持と報復禁止を徹底する

ヒアリングの内容は、調査に必要な範囲の人だけで共有し、それ以外には漏らさないことを担当者全員で徹底します。情報が漏れると、相談者が職場で孤立したり、今後の相談が減ったりする原因になります。

また、相談したことや調査に協力したことを理由に不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。行為者とされる人や関係者には、報復をしてはならないことを明確に伝えましょう。

注意点4:相談者を責める言動で二次被害を生まない

「なぜもっと早く相談しなかったのか」「あなたにも原因があったのでは」といった言葉は、相談者をさらに傷つける二次被害につながります。我慢するよう説得したり、「無視すればいい」と助言したりするのも避けます。

厚生労働省の資料では、相談者が行為者の言動を拒絶していなかったことを理由に、相談者に非があるとはしないよう留意することも示されています。立場上、はっきり断れないケースは珍しくありません。

注意点5:誘導的な質問を避け、事実と意見を分ける

「怒鳴られたんですよね?」のような答えを誘導する質問は、証言の信用性を下げてしまいます。「そのとき、相手はどのような話し方でしたか?」のように、本人の言葉で語ってもらう聞き方を基本にします。

記録では、本人が見聞きした事実と、本人の感想や推測を分けて書くことが大切です。後で判断するときに、何が確かな事実なのかを区別できるようになります。

注意点6:記録を正確に残し、内容を本人に確認する

ヒアリングの記録は、日時、場所、出席者、質問と回答の要旨を漏れなく残します。可能な限り、本人が使った言葉をそのまま記録するのが望ましいです。

録音する場合は、必ず本人の同意を得てから行います。記録をまとめたら本人に内容を確認してもらい、署名をもらうなどして、後から「そんなことは言っていない」という争いを防ぎます。

注意点7:スピードを意識し、進捗を相談者に伝える

ハラスメントは、放置するほど被害が深刻化し、職場全体に悪影響が広がります。相談を受けたら、できるだけ早くヒアリングに着手しましょう。

調査に時間がかかる場合は、今どの段階にあり、どのくらいの期間がかかるかを相談者に伝えます。何の連絡もない状態が続くと、相談者は「会社は動いてくれない」と感じ、不信感を募らせてしまいます。

ヒアリング後の判断と対応の進め方

ヒアリングが終わったら、結果をもとに事実の認定、措置の決定、当事者へのフィードバック、再発防止へと進みます。ここでの対応が、相談者と職場の信頼を回復できるかを左右します。

事実認定は複数の材料を突き合わせて行う

事実認定では、3者の証言が一致する点と食い違う点を整理し、客観的な資料と照らし合わせます。証言が食い違う場合は、具体性、一貫性、資料との整合性などから、どちらの説明がより信用できるかを検討します。

判断の過程は、なぜその結論に至ったのかがわかる形で記録に残します。懲戒処分などに進む場合、この記録が判断の妥当性を説明する根拠になります。

被害者への配慮措置と行為者への措置

ハラスメントが認められた場合は、相談者と行為者の配置の見直し、行為者からの謝罪、相談者のメンタルケアなど、被害者への配慮措置を速やかに講じます。

行為者には、就業規則にもとづく注意・指導や懲戒処分を検討します。処分の重さは、言動の悪質性や頻度、過去の処分歴などを踏まえ、ほかの事案とのバランスも考慮して決めます。

相談者へのフィードバックを忘れない

調査結果と会社の対応は、相談者に必ずフィードバックします。ハラスメントと認定できなかった場合でも、どのように調査し、なぜその判断になったのかを丁寧に説明します。

結果に納得してもらえない場合は、都道府県労働局の紛争解決援助制度や調停といった外部の手段があることも伝えます。誠実な説明は、相談者の会社への信頼を保つうえで欠かせません。

再発防止策を講じ、職場全体に周知する

個別の事案が解決しても、同じ問題が繰り返されては意味がありません。研修の実施、方針の再周知、管理職への指導方法の教育など、職場全体の再発防止策を講じます。

厚生労働省の調査では、ハラスメントの予防・解決に取り組んだ企業の39.1%が「職場のコミュニケーションが活性化する」効果を挙げています。再発防止の取り組みは、職場づくりへの投資でもあります。

関係者や行為者がヒアリングを拒否した場合

関係者がヒアリングを拒否した場合、強制はできないため、協力の必要性と秘密保持を丁寧に説明します。匿名での情報提供や、書面での回答など、負担の少ない方法を提案するのも有効です。

行為者とされる人が拒否した場合は、弁明の機会を与えたが応じなかった経緯を記録に残します。そのうえで、ほかの証言や資料から事実認定を進めます。

ハラスメントのヒアリングの実践事例と予防的な活用

厚生労働省の資料には、ヒアリングの進め方が結果を大きく左右した事例が紹介されています。ここでは公的資料の事例と、ツールを使った予防的な活用パターンを紹介します。

事例1:電話での簡易な聞き取りで判断を誤ったケース

セクハラの相談を受けた総務部長が、行為者とされる人に電話で30分程度聞き取っただけで、相談者の思い込みだと判断した事例です。相談者には「誤解だ」と伝えましたが、のちに労働組合が問題を取り上げました。

会社が改めて調査した結果、謝罪と慰謝料の支払いに至りました。人間関係の影響を受けない担当者が、面談の場で慎重にヒアリングすることの重要性を示す事例です。

事例2:パワハラと断定できなくても予防的に対応したケース

パワハラの相談に対し、調査では明確にパワハラと判断できなかったものの、放置すれば事態が悪化するおそれがあった事例です。会社は行為者と繰り返し話し合い、指導の仕方について理解を促しました。

具体的には、怒鳴らない、人格を攻撃しない、改善点を具体的に示すといった指導方法を伝えた結果、行為者の言動に変化が見られました。認定の有無にかかわらず、予防的な対応が有効であることがわかります。

活用パターン:定期的な匿名ヒアリングで兆候を早期に把握する

相談窓口を設けても、「相談したことが知られるのが怖い」と感じて声を上げられない社員は少なくありません。そこで、全社員を対象に定期的な匿名ヒアリングを行い、職場の状態を把握する企業が増えています。

たとえば四半期ごとに、「上司や同僚の言動で働きづらさを感じたことはありますか?」といった質問を配信し、部署ごとの回答傾向を確認します。気になる傾向が出た部署には、管理職との面談や研修を早めに実施することで、深刻化する前に手を打てます。

▼社員の声を効率よく聞き取るヒアリングの実例を見たい方はこちら

ハラスメント相談・ヒアリングツールの選び方6つ

ハラスメント対応のツールは、扱う情報が非常にセンシティブなため、一般的な業務ツールより慎重に選ぶ必要があります。比較検討で確認すべき6つのポイントを解説します。

選び方1:目的に合ったタイプを選ぶ

まず、相談の受付、職場の定期的な実態把握、外部の専門家による一次対応、面談記録の作成のうち、どの課題を解決したいかを明確にします。目的によって、選ぶべきタイプが変わります。

複数の課題がある場合は、外部相談窓口と社内のサーベイツールを組み合わせるなど、役割を分けて導入するのも有効です。

選び方2:匿名性と個人情報の保護

相談や回答の匿名性がどのように担保されるかは、最も重要な確認ポイントです。完全匿名なのか、管理者だけが閲覧できる記名式なのかを確認し、社員にも事前に説明します。

あわせて、アクセス権限の細かな設定、データの暗号化、プライバシーマークやISMSなどの認証も確認しましょう。情報が漏れれば、制度そのものへの信頼が失われます。

選び方3:相談しやすい受付手段があるか

社員によって、相談しやすい方法は異なります。Webフォーム、メール、電話、チャットなど複数の受付手段があると、相談のハードルが下がります。

スマートフォンから時間や場所を選ばずに相談できるかも重要です。職場のパソコンからでは相談しにくいと感じる人もいるためです。

選び方4:対応状況を管理・記録できるか

相談を受けた後、誰が担当し、どこまで対応が進んでいるかを管理できる機能があると、対応漏れや遅れを防げます。記録が一元化されていれば、担当者が変わっても経緯を引き継げます。

記録は、後から事実認定や処分の判断を説明する根拠にもなります。検索性や出力機能もあわせて確認しましょう。

選び方5:専門家のサポートを受けられるか

ハラスメント対応には、法律やメンタルヘルスの専門知識が求められる場面があります。弁護士、社会保険労務士、カウンセラーなどの専門家に相談できるサービスなら、判断に迷ったときも安心です。

社内に専門知識を持つ担当者がいない企業や、経営層が関わる事案に備えたい企業は、外部相談窓口型のサービスを検討する価値があります。

選び方6:料金体系と運用の負担

料金は、従業員数に応じた月額・年額制や、初期費用+相談件数に応じた従量制などさまざまです。自社の規模と想定する相談件数をもとに、総額で比較しましょう。

導入後に担当者が無理なく運用し続けられるかも重要です。無料トライアルやデモで、管理画面の使いやすさを事前に確かめておくのがおすすめです。

▼ツール選びのポイントを資料で確認したい方はこちら

ハラスメントのヒアリング・相談対応ツール10選の特徴

ここからは、比較表で紹介した10ツールの特徴を詳しく解説します。自社の課題に近いタイプから2〜3つに絞り込む際の参考にしてください。料金は比較サイトなどの掲載情報をもとにしているため、最新情報は各社にご確認ください。

Interviewz(インタビューズ)

Interviewz(インタビューズ)は、質問にタップで答えるだけの分岐型UIで、ヒアリングシートやアンケートをノーコードで作成できるツールです。相談受付フォームや、職場環境に関する定期的な匿名ヒアリングに活用できます。

回答内容に応じて次の質問を変えられるため、相談の種類や状況に合わせて必要な情報を整理して受け付けられます。料金は月30,000円(税抜)からで、14日間の無料トライアルがあります。

Googleフォーム

Googleフォームは、無料で使えるフォーム作成ツールです。簡易な相談受付フォームや社内アンケートをすぐに作れる点が魅力です。

一方で、回答の閲覧権限や共有設定を誤ると、センシティブな情報が意図しない人に見えてしまうリスクがあります。ハラスメントの相談受付に使う場合は、権限管理を厳格に行いましょう。

Microsoft Forms

Microsoft Formsは、Microsoft 365に含まれるフォーム作成ツールです。社内のアカウント管理と連動させやすく、Microsoft 365を導入済みの企業なら追加費用なく使える場合があります。

匿名回答の設定も可能ですが、設定によっては回答者の情報が記録されます。匿名とする場合は、設定内容を事前に確認し、社員に正しく説明することが大切です。

Wevox

Wevoxは、組織のエンゲージメントを定期的に測定するサーベイツールです。チーム単位から組織単位まで状態を把握でき、ベンチマークとの比較もできます。

ハラスメントそのものを調査するツールではありませんが、チームの状態悪化を早期に察知する手がかりになります。予防の観点から、定点観測の仕組みとして活用できます。

ハタラクカルテ

ハタラクカルテは、社員のコンディションを把握し、離職リスクを検知するサーベイツールです。離職アラートや離職要因別のスコア、スコアの推移を確認できます。

ハラスメントは離職の大きな要因の1つです。スコアの急な悪化をきっかけに個別ヒアリングを行うなど、早期発見の仕組みとして使えます。

Zation

Zationは、弁護士や社会保険労務士が通報・相談を受け付け、調査まで対応する外部窓口サービスです。電話、メール、Webなど複数の受付手段があります。

年4回の実績レポートで、相談の傾向を把握して予防策に活かせる点も特徴です。社内だけで公正な調査を行うのが難しい企業に向いています。

NEC VALWAY ハラスメント相談窓口

NEC VALWAYの相談窓口は、有資格のカウンセラーが相談者の話を傾聴し、報告書を作成するサービスです。弁護士や精神科医が専門家として関与します。

電話相談やメンタル相談を含むプランもあり、相談者の心のケアまで重視したい企業に向いています。

CHeck(アスマーク)

CHeckは、心理系の有資格者が相談に対応する外部相談窓口サービスです。相談受付だけでなく、ハラスメントの実態調査、規程づくり、研修もセットで提供しています。

相談窓口の設置から予防の仕組みづくりまでまとめて任せたい企業に向いています。

コンプラチェッカー(アトム法律事務所)

コンプラチェッカーは、通報内容を指定した社内担当者へ自動で転送する簡易型の通報ツールです。年間9,600円と低コストで通報ルートを用意できます。

弁護士は通報の対応には関与しないため、受け付けた後の調査・判断は社内で行う必要があります。まず最低限の通報ルートを整えたい中小企業に向いています。

Notta

Nottaは、AIで会話を文字起こしするツールです。本人の同意を得たうえで面談を録音・文字起こしすれば、記録係の負担を減らし、発言を正確に残せます。

扱う内容が非常にセンシティブなため、データの保存先やアクセス権限、社内のセキュリティ規程との整合を必ず確認してから利用しましょう。

相談受付と職場の定期ヒアリングならInterviewz(インタビューズ)がおすすめ!

「相談のハードルを下げる受付の仕組みを作りたい」「ハラスメントの兆候を早めにつかみたい」という企業には、Interviewz(インタビューズ)がおすすめです。公式サイトでは、導入企業でのヒアリングコスト90%削減などの成果が紹介されています。

Interviewzがハラスメント対応の仕組みづくりに向いている5つの理由

Interviewzは、ヒアリングシート・アンケート・診断コンテンツを1つのツールで作成できるヒアリングDXツールです。面談によるヒアリングを補い、相談対応の仕組みを整えるうえで役立つ理由を5つ紹介します。

理由1:分岐型の質問で相談内容を整理して受け付けられる

相談の種類や状況に応じて次の質問を変えられるため、「いつ・どこで・誰から・どのような言動か」を自然な流れで整理できます。担当者は面談の前に状況を把握でき、初回の面談を効率よく進められます。

理由2:タップ式でスマホから気軽に回答できる

選択肢をタップするだけで回答が進むため、文章を書くのが負担な人でも相談しやすくなります。スマートフォンから時間や場所を選ばずに回答できる点も、相談のハードルを下げます。

理由3:定期的な匿名ヒアリングで職場の兆候をつかめる

職場環境に関するヒアリングを定期的に配信し、部署ごとの回答傾向を比較できます。気になる変化があった部署に早めにフォローすることで、ハラスメントの予防につなげられます。

理由4:回答データを集計し、対応状況の管理に活かせる

回答は自動で集計され、CSV出力や外部ツールとの連携も可能です。相談件数の推移や内容の傾向を把握し、研修や方針見直しの根拠として活用できます。

理由5:ノーコードで始められ、14日間無料で試せる

専門知識がなくても、テンプレートをもとに人事担当者自身が質問を作成・修正できます。14日間の無料トライアルではすべての機能を試せるため、自社の相談フローに合うかを確かめてから導入を判断できます。

▼Interviewzのサービス内容を詳しく知りたい方はこちら

▼対面ヒアリングを自動化する方法を知りたい方はこちら

ハラスメントのヒアリングに関するよくある質問(FAQ)

Q1. ヒアリングは誰が担当するのがよいですか?

A. 当事者と人間関係が近すぎない人事部門や相談窓口の担当者が適しています。聞き手と記録係の2名以上で対応し、必要に応じて相談者と同性の担当者を加えます。経営層が関わる事案など社内での公正な調査が難しい場合は、外部の弁護士などに依頼しましょう。

Q2. ヒアリングの内容は録音してもよいですか?

A. 記録の正確性を高めるために録音することはできますが、必ず事前に本人の同意を得てから行います。録音データは厳重に管理し、アクセスできる人を必要最小限に限定してください。録音しない場合は、記録係が要点をまとめ、本人に内容を確認してもらいます。

Q3. 相談者が「誰にも言わないでほしい」と言った場合はどうすればよいですか?

A. まずは相談者の意向を尊重し、本人の了解なく行為者や関係者に聞き取りをしないのが原則です。そのうえで、調査を進めるには一定の範囲で情報共有が必要になることを丁寧に説明します。生命や身体に危険がある場合など緊急性が高いときは、専門家と相談して対応を判断します。

Q4. ヒアリングにはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 事案の内容や関係者の人数によって異なりますが、相談受付から結論まで数週間から1か月程度かかることが一般的です。被害の拡大を防ぐため、できるだけ早く着手し、時間がかかる場合は進捗と見通しを相談者に伝えましょう。

Q5. ハラスメントと認定できなかった場合はどう対応すればよいですか?

A. 調査の過程と判断の理由を相談者に丁寧に説明します。認定に至らなくても、職場に問題がある場合は、指導方法の見直しや関係改善の支援など予防的な対応を取りましょう。相談者が納得できない場合は、都道府県労働局の紛争解決援助制度などの外部手段があることも伝えます。

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まとめ:公正なヒアリングでハラスメントのない職場をつくろう

ハラスメントのヒアリングは、相談者を守り、事実を正確に確認し、職場環境を回復するための重要な手続きです。2026年10月からはカスハラ対策も義務化され、企業には相談体制と迅速な対応がこれまで以上に求められています。

本記事の要点は次のとおりです。

  • ヒアリングの対象は相談者・関係者・行為者とされる人の3者で、原則この順番で進める
  • 進め方は相談受付→計画→資料確保→質問整理→3者への聴取→事実認定の8ステップ
  • 中立性、複数名対応、秘密保持、報復禁止、二次被害の防止を徹底する
  • 判断は3者の証言と客観的資料を突き合わせて組織として行い、相談者にフィードバックする
  • ツールは相談受付・定期ヒアリング・外部窓口・記録の目的別に選び、予防にも活かす

次のアクションとして、まずは自社の相談窓口とヒアリングの担当者・手順が明文化されているかを確認しましょう。そのうえで、本記事の質問項目一覧表をもとに対象者別のヒアリングシートを用意し、比較表から相談受付や定期ヒアリングに使うツールを選んで試してみるのがおすすめです。

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