因子分析をエクセルで行う方法6ステップ|初心者でも迷わない手順を解説
- 2026/01/04
- 2026/07/03
目次
因子分析をエクセルで行いたいものの、「そもそも標準機能でできるのか」「因子数や回転はどう決めるのか」「結果をどう読めばいいのか」でつまずく方は少なくありません。
本記事では、エクセルで因子分析を始める前に必ず確認すべき前提から、アドインを使った操作手順6ステップ、ツールの比較表、結果の読み方、実務での活用事例、よくある質問までを、BtoB企業のマーケ・営業・人事・調査担当者向けに体系的に解説します。
読み終えれば、計算を通すだけでなく「意思決定に使える因子分析」を自分で進められるようになりますので、ぜひ参考にしてください。
著者:Interviewz編集部(運営:LEARNERZ株式会社)
ヒアリング/診断コンテンツのDX領域で200本以上の記事を制作・監修。ノーコードヒアリングツール「Interviewz(インタビューズ)」の開発・運営で得た現場知見と、延べ数千件のアンケート/ヒアリング運用データをもとに、BtoBの営業・マーケティング・人事・調査の実務に役立つ情報を発信しています。本記事は統計手法の一般的な考え方に基づき、実務での使いやすさを重視して編集しています。
因子分析とは?エクセルで行う前に押さえる基礎

因子分析(Factor Analysis)とは、複数の観測変数(アンケートの質問項目など)の背後に共通して存在する「潜在的な因子」を抽出し、データの構造を少数の軸で説明する統計手法です。たとえば顧客満足度調査で20問の設問があっても、その裏には「価格への満足」「サービスへの満足」「品質への満足」といった少数の因子が隠れていることが多く、因子分析はそれを数値的に取り出します。
観測変数の変動は「複数の変数に共通する共通因子」と「その変数固有の独自因子」に分けて捉えられます。この考え方により、複雑な多変量データを少数の因子に要約し、変数間の関係性を整理できるのが因子分析の価値です。心理尺度の開発、顧客満足度の構造把握、ブランドイメージの分析、従業員エンゲージメントの要因抽出など、BtoB実務でも幅広く使われています。
エクセルで因子分析を行うとき、多くの人がつまずくのは操作以前に「その分析、本当に成立しているか」という前提部分です。サンプルサイズや因子数の決め方、因子の解釈を誤ると、計算は通っても実務で使えない結果になりがちです。そこで本記事では、前提の確認 → ツール選び → 操作手順 → 結果の解釈という順で、迷わず進められる構成にしています。
因子分析と主成分分析の違い【比較表】

因子分析とよく混同されるのが主成分分析(PCA)です。両者は似ていますが、目的も解釈も異なります。使い分けを誤ると「本来やりたかった分析と違う結果」を出してしまうため、最初に整理しておきましょう。
| 観点 | 因子分析 | 主成分分析(PCA) |
|---|---|---|
| 目的 | 背後にある潜在構造・共通因子を説明する | 情報を要約・圧縮して次元を減らす |
| 考え方 | 観測変数を「共通因子+独自因子」で説明 | 観測変数を線形結合して主成分を合成 |
| 独自因子 | 区別して扱う | 概念として扱わない |
| 結果の解釈 | 因子に意味づけ・命名して報告 | 主成分は要約された新しい指標 |
| 向いている用途 | 顧客満足度の構造分析、心理尺度、意識調査 | 指標の要約、データの簡略化、可視化 |
ざっくり言えば、**主成分分析は「情報を要約する分析」、因子分析は「構造を説明する分析」**です。指標をまとめたい・次元を減らしたいだけなら主成分分析でも代用できますが、「アンケート項目の背後にある概念を説明し、因子に名前を付けて報告したい」なら因子分析を使います。実務では、まず主成分分析で当たりをつけ、説明フェーズで因子分析に切り替える、という併用も珍しくありません。
エクセルで因子分析を行う方法は3つ【ツール比較表】
結論から言うと、エクセルの標準機能(データ分析ツール)だけでは因子分析はできません。 標準の「データ分析」には回帰分析や分散分析は含まれますが、因子分析に必要な固有値計算・回転処理・因子負荷量の出力は対応外です。そのため、エクセルで因子分析を行うには次の3つのいずれかを選ぶことになります。
| 方法 | 難易度 | 費用感 | 特徴・向いている人 |
|---|---|---|---|
| 専用アドイン(エクセル統計/XLSTAT等) | ★☆☆ | 有償(体験版あり) | メニュー操作で完結。回転・因子得点も自動出力。実務者に最適 |
| ソルバーで自作 | ★★★ | 無料 | 標準機能のソルバーで計算。仕組みの理解や検証に向く。上級者向け |
| 外部統計ソフト連携(R/SPSS/Python) | ★★☆ | 無料〜有償 | 高度・大規模分析が可能。エクセルは前処理・共有に使う |
「エクセルでやりたい」という要望の多くは、操作感や社内での共有性をエクセルに寄せたいという意味です。その場合、現実的な落としどころは専用アドインの利用です。代表的な「エクセル統計」は多変量解析メニューから直感的に因子分析でき、日本語サポートも手厚いため初心者に向いています。XLSTATもExcelアドオン型で同様に扱えます。一方、統計理論の理解や再現性を重視するならR・Pythonとの連携、無料で仕組みを確かめたいならソルバー自作(後述)という選択になります。
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エクセルで因子分析を行う前に確認すべき3つのポイント
操作に入る前に、分析が「成立する」かどうかを確認します。ここを飛ばすと、計算は通っても解釈に耐えない結果になりがちです。
サンプルサイズが不足していると結果が不安定になる
因子分析は、見た目以上にサンプルサイズの影響を強く受けます。項目数が多いわりに回答数が少ないと、因子負荷量が極端な値になったり、分析のたびに因子構造が変わってしまいます。一般的には**「質問項目数の5〜10倍以上のサンプル数」**が目安とされ、200件以上あると安定しやすいとされます。回答数が足りない場合は、無理に因子分析を行うより、項目数を絞る、記述統計や相関分析で状況を整理する、という判断も現実的です。
因子数を機械的に決めない
エクセルで因子分析を行うと、固有値1以上やスクリープロットといった指標が自動的に出力されます。しかし「表示された数=正解」ではありません。固有値基準やスクリープロットはあくまで判断材料の一つです。業務上の目的やアンケート設計の背景を無視して因子数を決めると、説明しづらい因子構造になりがちです。統計的な基準で候補を絞りつつ、「この因子数なら意味づけできるか」「報告に使えるか」まで含めて最終判断しましょう。
因子の解釈は統計だけで完結しない
因子分析のゴールは、数値を出すことではなく「説明できる因子」を得ることです。どの質問項目がその因子に高く寄与しているか、質問文の意味がどう共通しているかを読み解く作業が欠かせません。統計的には妥当でも、業務文脈と合わない因子名を付けてしまうと、分析結果が意思決定に使われなくなります。「この因子は現場でどう説明できるか」「誰にどう使われるか」を常に意識し、数値と業務理解を往復しながら解釈を固めましょう。
サンプルサイズや解釈で詰まる原因の多くは、そもそもアンケート設計の段階にあります。分析に耐える質のデータを最初から確保することが、最短の近道です。
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エクセルで因子分析を行う手順6ステップ

ここからは、専用アドイン(エクセル統計など)を導入している前提で、実際の操作手順を解説します。
ステップ1:因子分析に適したデータを準備する
最初に行うのは、分析以前の「エクセルの表の作り方」です。ここが崩れていると後の操作がすべて噛み合いません。エクセル上では、1行目に質問項目名(列名)、2行目以降に回答データを置く縦持ちの表を作ります。Likert尺度(1〜5など)の数値がそのまま入っている状態が理想です。
この段階で必ず確認したいのは、空白セルがないか、文字列(「未回答」「-」など)が混ざっていないかの2点です。欠損がある場合は、平均値・中央値で補完するか該当行を削除します(補完はばらつきを小さくするため多用は注意)。異常値は箱ひげ図やZスコア(絶対値3超が目安)で確認します。因子分析は欠損・異常値に弱いため、「分析ツールに渡す前にエクセルで整える」が鉄則です。
ステップ2:必要なアドインを有効化・導入する
エクセル標準機能だけでは因子分析はできません。エクセル統計などのアドインを導入したうえで、エクセルを開いた状態でリボンに「エクセル統計」もしくは類似の専用タブが表示されているかを確認します。表示されていない場合は「ファイル → オプション → アドイン」から有効化されているかをチェックします。「データ」タブの標準「データ分析」だけを探していると因子分析は出てこないため、必ず因子分析に対応したアドインのメニューを使います。
ステップ3:データ範囲を指定する
アドインのメニューから「多変量解析」→「因子分析」を選択します。ダイアログが開いたら、まずデータ範囲の指定を行います。ここで重要なのは、列名を含めるかどうか、どこからどこまでを分析対象にするかを正確に指定することです。多くの場合「変数ラベルあり」にチェックを入れ、1行目を項目名として認識させます。この段階ではまだ分析を実行せず、「エクセル上の表がそのまま因子分析に渡っているか」を確認します。
ステップ4:因子数を決めて分析を実行する
次に因子数を設定します。いきなり最適解を狙う必要はありません。まずは2因子・3因子といった仮の因子数を設定して実行します。分析を実行すると、固有値表とスクリープロットがシート上に出力されます。ここでやることはシンプルで、「固有値が1以上の因子がいくつあるか」「折れ線グラフがどこでなだらかになるか(スクリー基準)」を目で確認するだけです。一度で決めきろうとせず、因子数を変えながら数回回す前提で進めます。
ステップ5:回転方法を選んで因子負荷量・寄与率を確認する
因子数の目安が立ったら回転方法を選びます。因子分析ダイアログに戻り、「回転方法」で Varimax(直交回転)または Promax(斜交回転)などを選択して再度実行するだけです。初心者・社内説明前提なら Varimax、心理尺度・意識調査なら Promax という使い分けで問題ありません。操作は「選択してOKを押すだけ」ですが、回転により因子負荷量の見え方が大きく変わるのがポイントです。ここで寄与率・累積寄与率も併せて確認します。
ステップ6:因子の意味づけと解釈を行う
分析結果として出力される因子負荷量表(因子パターン行列)が、実務で最も重要です。エクセル上では「行:質問項目/列:因子1、因子2、因子3…」という形で表が並びます。ここでのエクセル操作は、条件付き書式で色を付ける、0.4以上の値を太字にするなど、視認性を上げる作業です。数値を一つずつ読むのではなく、「どの項目が同じ因子に集まっているか」を表として直感的に把握し、各因子に業務で通じる名前を付けます。
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回転方法の選び方(Varimax・Promax)【比較表】
因子分析では、抽出した因子を「解釈しやすい形」に整えるために回転を行います。代表的な2つを比較します。
| 回転方法 | 種類 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| Varimax(バリマックス法) | 直交回転 | 因子間の相関を0に近づけ、負荷量を単純化。解釈しやすい | 初心者、社内説明前提、因子が独立と想定される場合 |
| Promax(プロマックス法) | 斜交回転 | 因子間の相関を許容し、現実に近い構造を表現 | 心理尺度、意識調査、因子が相関し合う複雑なデータ |
現実の意識・態度データは因子どうしが相関し合うことが多いため、学術・心理領域では Promax が好まれます。一方、まず全体像をシンプルに掴んで社内共有したい場面では Varimax が扱いやすいです。「唯一の正解」はないため、両方試して解釈しやすいほうを採用するのが実務的な進め方です。
結果の読み方|固有値・寄与率・因子負荷量の目安
出力結果を「なんとなく」で読むと解釈がぶれます。実務でよく使う3つの指標の目安を整理します。
| 指標 | 意味 | 実務での目安 |
|---|---|---|
| 固有値 | 各因子が持つ情報量の大きさ | 1以上を因子数の候補にする(あくまで目安) |
| 寄与率/累積寄与率 | 因子がデータの変動を説明する割合 | 累積で70〜80%以上あると説明力が高い |
| 因子負荷量 | 各項目と因子の関連の強さ | 0.4以上で意味のある関係、0.6以上で強い関係 |
因子負荷量は、0.6以上:強い関係/0.4〜0.6:意味のある関係/0.4未満:解釈に慎重が一つの目安です。基本は「最も高い因子にその項目を割り当てる」ですが、複数因子に0.4以上で載る項目は解釈が難しいため、質問文を見直す・除外して再分析するといった判断もあり得ます。なお、これらの基準は「判断の拠り所」にすぎません。研究レベルの厳密さは実務では不要ですが、なぜその因子数にしたか・なぜその因子名にしたかを他者に説明できることが重要です。
実務での活用事例|顧客満足度・人事・商品評価

因子分析は、抽象的な統計ではなく意思決定に直結する手法です。BtoB実務での代表的な使い方を紹介します。
顧客満足度・CX分析
満足度アンケートの多数の設問を「価格」「品質」「サポート」などの因子に集約し、どの因子が総合満足度に効いているかを把握します。因子得点を使えば、価格に敏感な顧客層/サポート重視の顧客層といったセグメントを見つけ、施策を出し分けられます。
人事評価・組織サーベイ
評価項目やエンゲージメント設問の背後にある「問題解決力」「リーダーシップ」などの因子を抽出し、登用や配置、育成施策の判断材料にします。
商品評価・ブランド調査
ブランドイメージ項目を少数の評価軸に集約し、自社と競合のポジショニングを可視化します。
いずれの場合も、報告時は因子負荷量や寄与率をわかりやすく示し、因子名の根拠と具体的な数値事例を添えることが信頼性の向上につながります。
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アドインなしで試す方法(ソルバー活用)
「まずは無料で仕組みを理解したい」という場合、エクセル標準のソルバーで因子分析を再現することも可能です。手順の概略は次の通りです。各列を標準化(平均を引いて標準偏差で割る)し、因子負荷量と因子得点を乱数で初期化して仮の共通因子を作ります。そこから「因子分析が推定する相関行列」と「実際の観測変数の相関行列」を用意し、両者の差分の二乗和を最小化するようソルバーで因子負荷量・因子得点を最適化します。さらに解釈を容易にするため、寄与度の分散が最大になる回転角をソルバーで求めれば、バリマックス回転も再現できます。
この方法は計算の中身を体感できる学習用途に向く一方、設定が煩雑で収束しないこともあり、初期値次第で結果が変わるため、実務の反復運用には不向きです。仕組みを理解したら、実務では専用アドインに移行するのが効率的です。
分析精度を高めるデータ収集のコツ

因子分析の精度は、操作テクニックよりも元データの質で決まります。欠損やばらつきの少ない、十分な件数の回答をいかに集めるかが最重要です。ここでつまずくと、どんなに丁寧に操作しても結果は安定しません。
回答の質と回収率を上げるには、設問設計の段階でバイアスを抑え、回答者の負担を減らす工夫が有効です。タップ操作中心で直感的に答えられるフォームに変えるだけで、回収率と回答品質は大きく変わります。インセンティブ設計(デジタルギフト等)も回答率向上に効果的です。
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よくある質問(FAQ)

エクセルの標準機能だけで因子分析はできますか?
A.できません。エクセル標準の「データ分析」ツールには因子分析が含まれていません。回帰分析や分散分析は可能ですが、固有値計算・回転処理・因子負荷量の出力には対応していません。実務ではエクセル統計などの専用アドイン、または R・SPSS・Python などの外部統計ソフトを使うのが前提になります。
主成分分析で代用しても問題ありませんか?
A.目的次第です。指標をまとめたい・次元を減らしたいだけなら主成分分析でも代用できます。一方、アンケート項目の背後にある概念を説明し、因子に意味づけをして報告したい場合は因子分析を使うべきです。両者は「要約」か「構造説明」かで役割が異なります。
因子負荷量はどこまでを採用すべきですか?
A.0.4以上を一つの目安にします。0.6以上は強い関係、0.4〜0.6は意味のある関係、0.4未満は解釈に慎重、という整理が実務的です。基本は最も高い因子に項目を割り当てますが、複数因子に0.4以上で載る項目は「解釈が難しい項目」として、質問文の見直しや除外・再分析を検討します。
サンプルサイズはどれくらい必要ですか?
A.一般的な目安は「質問項目数の5〜10倍以上」で、200件以上あると結果が安定しやすいとされます。回答数が不足していると因子構造が不安定になるため、足りない場合は項目数を絞るか、まず相関分析などで状況を整理するのが現実的です。
実務ではどこまで厳密さが求められますか?
A.研究レベルの厳密さは不要ですが、説明責任は必要です。固有値1以上、累積寄与率70〜80%、因子負荷量0.4以上といった基準は「判断の拠り所」にすぎません。重要なのは「なぜその因子数・因子名にしたか」を他者に説明できることです。機械的に数字だけで決める状態は避けましょう。
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お役立ち資料まとめ
まとめ
エクセルで因子分析を行うには、標準機能だけでは不十分で、専用アドイン・ソルバー自作・外部ソフト連携のいずれかを選ぶ必要があります。実務者にはメニュー操作で完結する専用アドインが最も現実的です。ただし、ツール選び以上に重要なのは、サンプルサイズ・因子数・解釈という前提を押さえること、そして**「意思決定に使える構造に整理する」**というゴールを見失わないことです。固有値1以上・累積寄与率70〜80%・因子負荷量0.4以上といった基準を拠り所にしつつ、業務文脈と往復しながら因子に意味づけをしていきましょう。
そして、因子分析の成否を最終的に決めるのは元データの質です。欠損やばらつきの少ない回答を十分な件数集める仕組みを整えることが、分析精度への一番の投資になります。まずは自社の調査データで前提を点検し、必要ならデータ収集フォームから見直してみてください。
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