企業が知っておくべきアンケートの作り方|質の高い意見を集める実践ポイント
- 2025/12/14
- 2025/12/14
アンケートは、顧客の声や従業員の意見を正しく把握するための大切な手段です。しかし、質問の作り方一つで「集まる情報の質」は大きく変わります。どれほど手間をかけて作ったアンケートでも、答えにくい内容だったり理解しづらい構成だったりすると、回答率は伸びず、必要なデータを集めきれません。
逆に、わかりやすく答えやすいアンケートは、回答者の負担が少なく、集まるデータも自然と精度が高まります。アンケートを作成する際に大切なのは、ただ質問を並べるのではなく、「目的に合った設計」を行うことです。
本記事では、アンケートの正しい作り方をすぐに実践できるステップで解説します。回答率を上げる工夫、質問設計のポイント、選択肢の作り方、注意すべき落とし穴まで、現場でそのまま使える形でまとめているので、ぜひ参考にしてください。
アンケート作成前に押さえておくべき3つのポイント

良いアンケートをつくるには、設問を作り始める前に以下の3点をはっきりさせておくことが大切です。
- 何のために実施するのか(目的)
- 誰に答えてもらうのか(対象者)
- どのような情報を集めたいのか、そしてそれに基づく設問の整理
この準備が甘いと、求めている答えが集まらず、結果として分析や施策活用が難しくなります。
目的をきちんと定める
アンケートの目標が曖昧だと、設問もぶれてしまい、欲しいデータが手に入りにくくなります。例えば「商品の満足度を測りたい」のか「サービス改善のヒントを集めたい」のかで、聞くべき質問は大きく変わります。
どのような判断材料が欲しいのかを明確にしておけば、必要な設問に絞れて無駄が減ります。まずは「このアンケートで何を決めたいのか」を明確にしましょう。
対象者を具体化する
誰に答えてもらうかが曖昧だと、設問の言い回しや配信手段を誤ります。対象者によって、使う言葉や想定する回答方法は変わるため、事前にペルソナ(例:年代・職業・デバイス利用状況)を決めておくと設計がスムーズです。
若年層が対象なら専門用語を避け、スマホで短時間に終えられるレイアウトにしたり、逆に業務担当者を対象にするなら詳細な選択肢や専門用語を取り入れたりすることもあります。
対象を明確にすると、回答率の向上にもつながります。
必要な情報と質問を整理する
アンケート作成に着手する前に、どの情報が本当に必要かを洗い出しておきましょう。作りながら考えると不要な質問が増えたり、設問間の整合性が崩れたりします。
目的から逆算して「これがあれば判断できる」という情報を特定し、それに対応する設問だけを残すと、無駄の少ない構成になります。関連する質問はまとまった順序にし、論理的に流れる設計を心がけましょう。
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アンケートの作り方を5つのステップで紹介

実際にアンケートを組み立てるときは、以下の流れで進めると効率的です。
- 回答形式を決める
- 質問文と選択肢を作る
- 実施方法を選定する
- フォームを組み立てる
- テストと最終チェックを行う
以下で各手順を順に説明します。
1.回答形式を決める
アンケートの回答形式は目的に合わせて選びましょう。代表的なアンケートの形式と向き不向きは以下の通りです。
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設問形式 |
内容・特徴 |
向いている質問例 |
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シングルアンサー |
複数の選択肢から1つだけ選ぶ方式。一般的で回答がシンプル。 |
性別・年代・職業など「該当するものが1つ」の質問 |
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マルチアンサー |
複数選択可。該当する項目をすべて選んでもらう形式。 |
利用しているSNS、購入理由、利用目的など複数選択可能な質問 |
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フリーアンサー |
自由記述で意見を書いてもらう方式。詳細な意見を集められるが解析の手間が増える。 |
改善点、感想、要望、具体的な体験など深い意見 |
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順位回答 |
選択肢の優先順位をつけてもらう形式。重視ポイントを把握しやすい。 |
商品選びで重視するポイントの順番、サービスの改善優先度 |
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数値配分法 |
限られた点数(例:100点)を項目ごとに配分して、重要度や比率を測る方式。 |
重視度の割合、予算配分、評価バランスの把握 |
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スケール(評価尺度) |
段階評価(5段階・7段階など)で満足度や意向を測る方式。 |
満足度、再利用意向、使いやすさ、印象などの評価 |
|
マトリクス |
行列形式で複数の項目をまとめて評価する方式。効率的に多項目を聞ける。 |
機能ごとの満足度評価、複数サービス項目の比較評価 |
目的に応じて、どの形式を採用するかを決めましょう。
2.質問文と選択肢を作る
回答形式が決まったら、次は質問文と選択肢の作成です。質問は誰が読んでも意味が通じるよう簡潔に書きます。
例えば「弊社サービスの利用頻度を教えてください」よりも「直近3か月で本サービスを何回利用しましたか?」と具体性を持たせる方が良いです。
また、一つの設問で複数の事柄を同時に聞く「ダブルバーレル」は避けてください(例:「価格と品質に満足しましたか?」のように2点を同時に聞くのはNG)。
選択肢は偏りがないよう網羅的に準備し、必要に応じて「わからない」「その他」欄を設けると無理な回答を減らせます。上記の自由記述欄を設ける場合は、その理由や具体的内容を記入してもらえるよう追記欄を用意しましょう。
3.実施方法を決める
回答率や対象特性に合わせて最適な実施方法を選びます。代表的な手法の特徴は以下の通りです。
|
実施方法 |
特徴・向いているケース |
|
紙 |
インターネット利用が難しい高齢者・子ども向け。イベントや店舗で直接配布したい場面でも有効。 |
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Web |
低コストで広範囲に短期間で実施できる。若年層やインターネット利用者への調査に最適。 |
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電話 |
直接ヒアリングできるため回収率が高まりやすい。丁寧に聞き取りたい調査や、高齢者・企業担当者への調査に向いている。 |
|
対面 |
意見の背景や感情を深く聞き取れる。商品テストなど、より高い信頼性が必要な調査で有効。 |
匿名性や回答環境を配慮しながら、対象にとって回答しやすい方法を選びましょう。
4.アンケートフォームを作る
質問と選択肢、回答方式が固まったら、Googleフォームなどのツールでフォームを組み立てます。設問の順序は重要で、一般に下に行くほど離脱率が高くなるため、優先度の高い項目は上部に配置しましょう。
関連性のある質問を近くにまとめると、回答者の負担を減らせます。
5.テストと最終確認を行う
完成後は誤字脱字や意味が伝わりにくい表現がないか入念にチェックします。可能であれば第三者に試しに回答してもらい、所要時間や設問の分かりやすさを確認しましょう。
本番でのトラブルや誤解を防ぐためにも、最終確認は手を抜かないことが重要です。
▼下記の資料では、実際にアンケートを作成する際に回答率の高いアンケートを作成するために『どんな項目があるばべきか』『回答率の高いアンケートの特徴』など、実例を交えながら解説しています。
アンケート作成でお悩みのある方は、下記の資料を参考にしながら効果的ななアンケートの作成方法を確認してみてください。
回答率を高めるアンケート作成の重要ポイント

アンケートの回収率を上げるためには、設問の作り方や構成に気を配る必要があります。ただ質問を並べるだけでは不十分で、回答者に「答えやすい」「負担が少ない」と感じてもらえる工夫が欠かせません。
ここでは、回答率向上のために押さえておきたいポイントを順番に解説します。
目的・所要時間・締切を最初に示す
アンケートの冒頭文は、協力してもらえるかどうかを左右する大事なパートです。最初に書いておきたいのは「アンケートを実施する理由」「回答に必要なおおよその時間」「締切日時」の3点です。
・アンケートの目的
回答する意味が分からないと、協力しようという気持ちが起きにくいため、どのような意図で調査を行うのかを明確にしておきましょう。データの使用範囲を添えるとさらに安心感が生まれます。
・所要時間の目安
回答に何分かかるのかを前もって示すことで、「すぐ終わりそう」と判断しやすくなります。質問数を記載してもよいでしょう。
・回答期限
具体的な日時を提示することで、後回しにされるのを防ぎ、回答してもらえる確率が高くなります。
個人情報の取り扱いは慎重に
氏名や住所などの個人情報を求められることに抵抗を感じる人は多く、必要性が低い場合は無理に聞かないことが賢明です。もし必須情報として取得する場合は、プライバシーポリシーを明記し、回答者の不安を取り除く配慮が必要です。
さらに、個人情報を扱う際は関連法令に従うことが求められます。
質問数は「負担にならない量」に調整する
質問項目が多すぎると、「大変そう」と感じた時点で離脱しやすく、結果的に回答率が下がります。短い時間で終えられる構成にするため、質問数が適切かどうかをよく検討しましょう。
質問の流れを最適化する
内容があちこちに飛ぶアンケートは、回答者にとって混乱しやすく時間もかかります。質問は整理して配置し、自然な流れになるよう心がけましょう。
時間の順に並べる、全体を聞いてから細かい点を尋ねるなど、答える側にとって理解しやすい並び方を意識してみてください。
回答者にメリットを示す
回答すると得られる特典があると、アンケートに協力してくれる人が増えやすくなります。抽選形式にすることも可能ですが、その際は「当選と回答内容には関係がない」ことを明記し、回答が偏らないよう注意しましょう。
読みやすさを最優先に考える
アンケートにきちんと回答してもらうには、内容そのものよりもまず「読みやすさ」が大切です。パッと見たときに「読みづらい」と感じさせる構成では、どれほど質の高い質問でも途中離脱につながります。
特にスマートフォンで回答するケースが多いオンラインアンケートでは、画面上での負担が少ないかどうかを確認しておきましょう。
読みやすさを高めるためのポイントとしては、以下が挙げられます。
- 行間を広めにとる
- 強調したい部分は太字にする
- 専門用語を避け、分かりやすく書く
- 長い文章は避けてコンパクトにまとめる
一見小さな工夫でも、こうした積み重ねがアンケート全体の印象を大きく左右し、「この内容なら答えられそう」と感じてもらえるきっかけにつながります。
具体性のある質問で回答しやすくする
回答率を上げるためには、質問文そのものが答えやすい形になっているかが重要です。「具体的なイメージが湧かない質問」は、それだけで離脱の原因になりやすいものです。
例として、「サービスの印象を教えてください」という曖昧な聞き方より、「初めて利用したとき、どのような印象を持ちましたか?」と聞いた方が答えやすくなります。
質問の意図が作成者には分かっていても、回答者には伝わりにくいことがあります。そのため、第三者にチェックしてもらい「分かりにくい表現はないか」「答えにくい部分はないか」を確認することも大切です。
中立性を保って誘導を避ける
回答を特定の方向に誘導するような質問は、アンケートの信頼性を損なう大きな要因です。「〇〇は良かったですよね?」のような表現は意図せずバイアスを生み、本来集めたい率直な意見が得られなくなります。
質問文は、意図を感じさせない中立的な表現にすることが基本です。作成後は他のメンバーに目を通してもらい「誘導しているように見える部分はないか」をチェックしましょう。
質問数を絞って途中離脱を減らす
アンケートの長さは回収率に直結します。理想的な回答時間は5〜10分程度で、質問数としては20〜30問がひとつの目安です。特にフリーアンサーが多いと負担が大きくなるため、必要最小限に留めることが大切です。
記述式を増やす場合でも、「一言で構いません」といった補足を添えるだけで、回答者の心理的ハードルを下げる効果があります。
選択肢は分かりやすく、迷わない形に
選択肢の作り方が複雑だと、回答者は選ぶのに時間がかかり、途中で投げ出してしまうことがあります。「表現が似ていて違いが分からない」「選択肢が多すぎる」と感じさせない工夫が必要です。
選択肢の違いが明確になるように意識し、迷いが生まれにくい言葉を選びましょう。対応しきれない場合は「その他(自由記述)」を入れることで、回答者の負担を軽減できます。
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まとめ

アンケートは、企業が顧客や従業員の本音を知るための確かな情報源です。しかし、ただフォーマットに沿って作るだけでは不十分です。「回答しやすさ」「質問の明確さ」「情報の信頼性」をいかに高めるかが、最終的な成果を左右します。
目的を明確にしたうえで、質問の順番や構成を丁寧に整理し、回答者の負担を最小限に抑えた設計にすることで、質の高いデータが手に入ります。また、選択肢の作り方や個人情報への配慮など、細かなポイントにも注意することで、より信頼性の高いアンケートになるでしょう。
これからアンケートを作成する企業の方は、今回紹介したポイントを取り入れながら、自社の目的に合ったアンケートづくりにぜひ取り組んでみてください。少しの工夫で、回収率もデータの質も大きく変わります。必要な情報を正しく集められるアンケートは、企業の意思決定を支える強力な武器になるでしょう。
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